有識者344人が考える、日本の将来と参院選の争点 -約6割が日本の将来に悲観的と回答

 言論NPOが5月7日から5月20日の期間に行った有識者アンケートを実施したところ、58.7%と6割近くの人が日本の将来を悲観的に見ていることが明らかになりました(「非常に悲観的である」(14.2%)、「どちらかといえば悲観的である」(44.5%))。

 その理由として「日本で急速に進む少子高齢化に関して、有効な対策が提示されていないから」(64.7%)との回答が最多となり、多くの人たちが少子高齢化への対策が日本の将来にとっての一番の課題だと考えていることがわかります。

 こうした課題に対して、日本の政党や政治家に期待しているかを尋ねたところ、「期待している(どちらかを含む)」との回答が44.5%となり、「期待していない(どちらかを含む)」との回答(38.7%)を上回りました。

 さらに、7月に予定されている参議院選挙での争点を尋ねたところ「少子高齢化が進む中、目指すべき日本の将来像」(48.0%)と最多となり、「アベノミクス」(45.6%)、「安保法制」(45.4%)が続く結果となりました。

 今回の調査結果は、言論NPOの活動にこれまで参加していただいた全国の有識者約6000人を対象に、2016年5月7日から5月20日の期間でアンケートの回答を依頼し、回答のあった344人の回答内容を分析しました。

調査の詳細は以下の通りです。

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日本の将来を考えた際の気になる変化として「急速に進む日本の高齢化と人口減少」との回答が最多

 今、日本の将来や日本を取り巻く状況の変化で気になっていることを尋ねたところ、最も多くの人が「急速に進む日本の高齢化と人口減少」(62.8%)と国内の状況の変化を挙げ、「アメリカ大統領選の行方」、「中国が南シナ海、東シナ海で力による現状変更を進めていること」で54.7%の同率で続きます。

この他、5割を超えたのが「日本の財政問題」(52.9%)、「アメリカの力の後退と世界秩序の変化」(52.0%)、「国内の所得格差の問題や若者の非正規雇用化」(51.7%)となりました。

【日本の将来や日本を取り巻く状況の変化で気になること】

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日本の将来を悲観的に見ている人が6割に迫る

 日本の将来に関してどのように感じていることを尋ねたところ、「非常に悲観的である」(14.2%)、「どちらかといえば悲観的である」(44.5%)との回答は58.7%となり、6割近くの人が日本の将来を悲観的に見ていることが明らかになりました。

 一方、「楽観的である」(2.0%)、「どちらかといえば楽観的である」(19.5%)との回答は21.5%に留まりました。

【日本の将来をどう考えているか】

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将来に悲観的な理由として最多となったのは「少子高齢化への対策が提示されていないこと」で6割を超える

 続いて、悲観的に見ている人にその理由を尋ねたところ、6割を超える人が「日本で急速に進む少子高齢化に関して、有効な対策が提示されていないから」(64.7%)と回答し、ここでも少子高齢化への対策が示されていないことに懸念を示していることが分かります。

この他、悲観している理由として「メディア報道を始め、日本の言論側の力が後退しているから」(54.9%)、「政治が日本の課題に取り組むよりも、国民の不安に迎合するポピュリズムの傾向が強まっているから」(53.5%)の2つの選択肢が5割を超える結果となりました。

【悲観的に見ている理由】

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日本の課題解決を政党や政治家に「期待する」との回答が4割を超える

 日本は経済成長の停滞、悪化する財政、少子高齢化など様々な課題に直面していますが、こうした課題に対して、日本の政党や政治家に期待しているかを尋ねたところ、「期待している」(14.8%)、「どちらかといえば期待している」(29.7%)との回答が44.5%となり、「期待していない」(9.6%)、「どちらかといえば期待していない」(29.1%)と38.7%を上回りました。

【日本の課題解決を政党や政治家に期待できるか】

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「政党や政治家は選挙に勝つことが自己目的化している」との回答が過半数を超える

 政党や政治家が日本の課題解決のプランを示せない原因を尋ねたところ、「政党や政治家が日本の長期的な課題に取り組むのではなく、選挙に勝つことが自己目的化したから」との回答が52.9%と過半数を超え、多くの有識者が政党や政治家の多くが選挙に勝つことが自己目的化していると感じていることが明らかになりました。

【政党や政治家が課題解決のプランを示せない理由】

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7月に行われる参議院選挙の争点として「少子高齢化」、「アベノミクスの評価」、「安保法制の是非」が4割を超える

 2016年7月に行われる参議院選挙での争点は何かを尋ねたところ、最も多くの人が「少子高齢化が進む中、目指すべき日本の将来像」(48.0%)と回答し、「アベノミクスの評価」(45.6%)、「安保法制の是非」(45.4%)が続きました。

 一方で、「少子高齢化に耐えられるような社会保障制度の見直し」(40.4%)も4割を超えており、多くの有識者は少子高齢化、それに伴う社会保障制度の見直しが今回の大きな争点の1つだと考えていることが分かります。

【参議院選挙の争点】

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安倍政権を「支持しない」との回答が「支持する」との回答を10.5ポイント上回る

 現在の安倍政権を支持するかを尋ねたところ、「支持しない」(43.3%)との回答が「支持する」(32.8%)との回答を上回る結果となりました。「不支持」が「支持」を上回るのはこれで4年連続です。

 一方で、21.5%の人は「どちらともいえない」と判断を保留しています。過去3年の調査では、この「どちらともいえない」は15%前後でしたので、安倍政権の評価に迷う有識者が増加していることが見て取れます。

【安倍政権の支持率】

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安倍政権は「2018年9月の自民党総裁任期まで」との回答が最多

 2012年の12月26日に成立した安倍政権は3年を超える長期政権となっています。この安倍政権がいつまで続くかを尋ねたところ、「自民党総裁の任期が切れる2018年9月」までと回答した人が36.6%となり、昨年12月の調査時(35.6%)と同様に最多となりました。

 ただ、これに続くのが、22.4%の「わからない」との回答で、昨年12月の12.9%から10ポイント近く増加するなど、安倍政権の行方を判断しかねている有識者の様子もうかがえます。

 一方で、「東京五輪開催の2020年夏ごろ」までとの回答も12.5%(昨年16.8%)と一定程度存在しており、更なる長期政権を望む声も存在しています。

【安倍政権はいつまで続くか】

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野党共闘などの取り組みを評価する声が5割に迫る

 2016年7月の参議院選挙に向けて、野党が共闘して候補者の一本化を行うなどの取り組みを行い始めています。こうした野党の取り組みを評価しているかを尋ねたところ、「評価している」(24.1%)、「どちらかといえば評価している」(25.0%)との回答を合わせると、49.1%と5割近くの人が評価しており、「評価していない」(18.6%)、「どちらかといえば評価していない」(11.3%)の29.9%を上回りました。

 一方で、「そもそも野党に期待していない」(9.0%)との回答も1割近く存在しています。

【野党の取り組みへの評価】

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半数に迫る人が、政党政治が課題解決できず、既存政党への不信が高まり始めると回答

 今の日本の政治状況について、半数に迫る47.5%の人が「政党政治が財政破綻や社会保障などで課題解決できず、既存政党への不信が高まり混迷を深めていく時期」と回答しており、既存政党への不信を示し始めていることが明らかになりました。これに「新しい国や政府、社会の在り方をまだ政治が模索している時期」(28.2%)、「日本の将来に向けた政党間の競争がないまま、日本は衰退と混乱に向かうことが避けられなくなる時期」(24.9%)との回答が続きました。

 一方で、「自公政権が長期化し、安定的な政権が続いていく」との回答も24.3%と一定程度存在していることが分かります。

【現在の政治状況】

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今回の選挙で、言論NPOが取り組むべきこととは

 言論NPOは2004年から政権の実績評価や選挙時のマニフェスト評価を行ってきました。2016年7月の参議院選挙で、言論NPOはどのようなことに取り組むべきかを尋ねたところ、これまで行ってきた「日本の将来に向けた各党との政策討議とマニフェスト評価」(46.2%)と「安倍政権の実績評価」(45.9%)について取り組むべきとの回答が拮抗する結果となりました。

 一方、「日本の民主主義の現状や民主主義の立て直しに向けた集中討議」(39.2%)と、そもそも民主主義という制度についての議論を行うべきとの回答も4割に迫りました。

【今回の参院選で言論NPOが取り組むべきこと】

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⇒「政治が『日本の将来』をどう語るのか、有権者はまず見極めよう」(工藤泰志・言論NPO代表)

 日本は今、様々な課題に直面しています。特に大きな課題として、人口減少と少子・高齢化、消費税の引き上げの先送りに伴う社会保障と財政再建の行方、アベノミクスで成長力をどうあげるのか、外交・安全保障政策、日米関係などが挙げられます。今回の参院選で、日本の政治は有権者に何を語るべきなのか、各専門家20人が議論します。この模様を14日(火)から19日(日)まで6夜にわたって20時から放送します。ぜひご覧ください。

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