子どもたちに宿泊型のキャンプの機会が重要であるもうひとつの理由

自宅を離れて宿泊をする子どもたち(写真:アフロ)

夏休みといえば、子どもたちにとって楽しみなイベントが満載です。お祭りや家族旅行、バーベキューなど、いまからドキドキしながら夏休みの到来を待っている子どもたちがたくさんいるのではないでしょうか。

一方、夏休みのような長期休暇には、子育て家庭にとって悩ましいことも少なくありません。学校や休みでも仕事が休めない間、子どもたちの安心と安全をどう見守るのかは頭痛の種です。中学生や高校生になればそのような心配も減るのだと思いますが、幼児や小学生くらいの年齢となれば不安と心配はなくなりません。

親にとっては悩みも多い夏休みですが、やはり子どもたちにとっては楽しみな時期。しかし、夏休みを楽しみに待つことができない子どもたちの存在も忘れてはならないと思います。夏休みが終わり二学期が始まる前後で子どもの自殺が顕著に見える傾向にあることで、夏休みにどう子どもたちを支えていくかも議論されるようになりました。

「自殺を考えるほど悩んだら、学校休んでいらっしゃい」ツイートした鎌倉市図書館が、今伝えたいこと #だからひとりが好き(HUFFPOST)

子どもの頃、夏休みが待ち遠しく、また、とても楽しかった思い出ばかりというひととは異なる夏休みを過ごす子どもたちもいます。育て上げネットでは、小学校四年生から中学校三年生の子どもたちに対して学習と生活の支援を行っています。そこにはひとり親家庭やルーツが外国にある子どもたち、経済的に難しい状態の家庭下の子どもたちも少なくない。その中には、夏休みが楽しいどころか、ただただつらい時間という捉え方の子どもたちが存在します。

少し検索をしてみると、病気と戦っていたり、障害を持っていたり、私たちが想像する”楽しい夏休み”が待ち受けていない子どもたちのために、さまざまな体験や経験の機会を提供している組織や団体があることもわかります。

そのなかで注目したいのが宿泊を伴うキャンプを子どもたちに提供することです。知らない場所で、知らない大人と寝食を共にした経験のない子ども、修学旅行など学校行事に参加できなかった子ども、話すことや友達づくりが苦手な子ども、そして外泊や旅行を経験したことのない子どもたちが、キャンプを通じてさまざまな機会を獲得し、小さな変化をしていく姿を見守っていく活動です。

サマーキャンプ参加後の子どもたちの変化
サマーキャンプ参加後の子どもたちの変化

(出典:”夏休みを楽しめない子どもたち”にとびきりの田舎体験を届けたい!

昨年実施したサマーキャンプ後の子どもたちの変化について保護者にお聞きした結果が上記のデータです。アンケート数が13家庭と少なくて恐縮ですが、そこにはキャンプを通じて変化した子どもたちと、家庭の姿が見て取れます。※すべての子どもたちが劇的に変化をするわけではありません。

宿泊を伴うキャンプに着目した理由は、子どもたちが夏休みを楽しく過ごし、多様な経験を積むこと以外にも、もうひとつ大切なことがあるからです。それは子どもたちが不在となった家庭に、ささやかな時間的余裕を作るということです。夏休みに限らず、子どもたちがいれば食事や就寝など、基本的に保護者が一緒に過ごします。両親が揃っていたり、祖父母が見てくれるのであれば時間は作れますが、シングルペアレントであれば、外出に制約が生まれ100%自分の自由な時間を確保することは難しく、ホッと一息ついたり、友人とゆっくり過ごしたり、日常のルーティーンワーク以外のまとまった雑務をこなす余裕を持ちづらいものです。

そんな保護者に対して、時間的、精神的な余裕を提供できる機会として宿泊を伴うキャンプは機能します。自宅を離れ、家族以外のひとたちと外泊をする子どもたちを心配しつつも、保護者という役割から離れ、自分の時間を過ごすことができることや、子どもたちが帰宅したとき、保護者の知らない場所で知らないひととたくさんの経験をしたことをたくさん聞くことができます。自分の子どもが何日も他者と過ごせるのか不安な保護者もいらっしゃいますが、帰って来た我が子の姿や変化を見て、感動される声もいただきます。

子どもたちが楽しく非日常経験を獲得できる機会が、これから夏休みに向かって少なからず社会の側から提供されると思いますが、それは子どもたちのためだけのものではなく、ご家族にとっても大変有意義な時間となり得ます。子どものための機会提供は、保護者にとっても意味のあるものとして、さまざまなプログラムが認識されていくことを願います。