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子どもを守る緊急相談電話

工藤啓認定特定非営利活動法人育て上げネット 理事長
さまざまな相談電話ダイヤルの登録は、私たちが子どもたちを守るためにできること(提供:アフロ)

2015年7月1日より、児童相談所の全国共通ダイアルが3桁( 189 )になりました。これまでの10桁よりも覚えやすく、警察( 110 )や消防や救急( 119 )と同じように、児童への虐待が緊急通報が必要なレベルに位置付けられたということです。( 189 )の覚え方は「いち はや く」です。暗記はもちろんですが、虐待察知時に慌てないよう番号登録をしておきたいものです。

児童相談所全国共通ダイヤル

虐待かもと思った時などに、すぐに児童相談所に通告・相談ができる全国共通の電話番号です。

「児童相談所全国共通ダイヤル」にかけるとお近くの児童相談所につながります。

通告・相談は、匿名で行うこともでき、通告・相談をした人、その内容に関する秘密は 守られます。

出典:厚生労働省:児童相談所全国共通ダイヤルについて

児童虐待以外にも、特に子どもたちを守るための緊急電話相談先があります。

私も二児の父親(もうすぐ四児になります)ですが、子どもの様子が急変することはとてもよくあります。素人では重篤な症状なのかそうでないかは判断が付かず、必然的に重篤の可能性を考え、救急車を呼ぶか、病院に連れていくか迷います。そんな親として迷ったときに相談できるのが( #8000 )の小児救急電話相談です。過去にも何度か使ったことがありますが、すぐに病院に連れていく指示と、処置の仕方を教えていただき自宅で翌朝まで様子を見る助言をいただきました。

小児救急電話相談事業

★小さなお子さんをお持ちの保護者の方が、休日・夜間の急な子どもの病気にどう対処したらよいのか、病院の診療を受けたほうがいいのかなど判断に迷った時に、小児科医師・看護師への電話による相談ができるものです。

★この事業は全国同一の短縮番号#8000をプッシュすることにより、お住まいの都道府県の相談窓口に自動転送され、小児科医師・看護師からお子さんの症状に応じた適切な対処の仕方や受診する病院等のアドバイスを受けられます。

出典:厚生労働省:小児救急電話相談事業

先日、岩手の中学二年生が自ら命を絶った悲しい事件がありました。報道から流れる情報しかわかりませんが、いじめ問題や学校の対応について大きなニュースとなっています。文部科学省では、いじめ問題など子どものSOSに対応するため24時間体制で電話相談( 0570-0-78310 )を受けています。全国の子どもたちからのSOSをいつでも受信するというものです。原則として電話をかけた所在地の「教育委員会の相談機関」に接続されるようです。

サイト文面からは、まずは先生や両親に話すことを進めつつ、話しにくいときは電話で相談してくださいとあります。どちらが優先というのではなく、打ち明けやすい方を選んでいいと思います。

24時間子供SOSダイヤル

クラスの子がいじめにあっていると見たり感じたり、自分や友人の安全に不安があったりしたら、ひとりで悩まずに先生やお父さん・お母さんに相談しましょう。

話しにくいときには、いつでも電話で相談できる「24時間子供SOSダイヤル0570-0-78310(なやみいおう)」に相談してみましょう。

出典:文部科学省:いじめ問題を含む子供のSOSに対する文部科学省の取組

文部科学省の取り組みに近いのですが、法務省でもいじめなどに対応する相談電話があります。人権上の問題と感じること全般に対応すると書いてあります。ウェブサイトで「法務局による相談・救済手続きの特徴」とあり、簡単ですが救済措置例が示されています。

・みんなの人権110番( 0570-003-110 )

・女性の人権ホットライン( 0570-070-810 )

・子どもの人権110番( 0120-007-110 )

人権相談

○不当な差別,職場・学校でのいじめ,相隣間のトラブル,インターネットでの誹謗中傷・プライバシー侵害(注)など,「これは人権上問題では?」と感じたりすることはありませんか

○全国各地の法務局では,職員や人権擁護委員が人権に関するご相談(人権相談)をお受けしています。

○必要に応じて,事実関係を調査します。

○あなたの悩みの解決のため,最善の方法を一緒に考えます。一人で悩まず,法務局へご相談ください。

出典:法務省:人権相談

法務省では子どもの非行問題についても相談電話( 0570-085-085)を持っています。子供達の非行や問題行動で困っている方へのものですが、法務少年支援センター(少年鑑別所)にて、心理学の専門家である職員が相談を受けられるようで、その際には直接センターに行くことになるものと思いますが、入口機能のひとつとして相談電話が設置されているものと思います。未成年のみならず、成人年令も相談対象であり、性格や仕事の適性などに関する検査も実施されています。相談ダイヤルとは別に、下記サイトでは相談窓口一覧表もあります。

子供の非行問題などの相談

「子供が学校で友達とトラブルを起こしてしまい,困っている。」

「家庭内でのしつけについて悩んでいる。」

法務少年支援センター(少年鑑別所)では,そのようなお悩みを,心理学の専門家である職員が丁寧にお聞きし,例えば保護者の方に対して,今後のお子さんとの接し方を助言したり,お子さん御本人に継続的にカウンセリングを行ったりするなどの援助を行っています。

お一人でお悩みになる前に,まずは,お近くの法務少年支援センター(少年鑑別所)までお気軽にお問い合わせください。

出典:法務省:子供の非行問題などの相談

その他、警視庁では警察相談専用電話( #9110 )など、さまざまな相談ホットラインを準備されていますし、各都道府県でも多くの取組がなされています。例えば、東京消防庁では救急車を呼んだらよいかどうか迷ったときのために救急相談センター( #7110 )を設置しています。

子どもたちに自らの身を守らせる取り組みや仕組みも大切ですが、保護者や周囲の大人が何か変化に気がついたときに手を差し伸べると共に、抱え込まないように外部相談機関へのアクセシビリティを持っておくこともまた、子どもたちを守ることにつながると思います。

認定特定非営利活動法人育て上げネット 理事長

1977年、東京都生まれ。成城大学中退後、渡米。Bellevue Community Colleage卒業。「すべての若者が社会的所属を獲得し、働くと働き続けるを実現できる社会」を目指し、2004年NPO法人育て上げネット設立、現在に至る。内閣府、厚労省、文科省など委員歴任。著書に『NPOで働く』(東洋経済新報社)、『大卒だって無職になる』(エンターブレイン)、『若年無業者白書-その実態と社会経済構造分析』(バリューブックス)『無業社会-働くことができない若者たちの未来』(朝日新書)など。

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