中国の債務比率が1998年の日本に近くなる。1998年の日本のように中国の金融市場に動揺は走るのか
中国の債務が膨らんでいる。国際決済銀行(BIS)によると、経済規模と比べた債務残高の比率は6月末に過去最高を更新した(6日付日本経済新聞)。
この場合の債務残高とは政府だけではなく、金融機関を除く国全体の債務残高となる。
BISが5日に公表した中国における金融機関を除く債務残高は6月末時点で、51兆8744億ドル(約7100兆円)となった。国内総生産(GDP)比で295%となり、遡れる1995年末以降で最高となった(6日付日本経済新聞)。
現在の中国の債務比率は1998年3月末の日本の296%に近いとされる。
その1998年の日本の金融市場では、いくつもの出来事が起きていた。金融市場にいろいろな意味で動揺が走っていた。中国でも同様のことが起きるかどうかはわからないが、市場が動揺してくる可能性はある。
1998年当時は金融システム不安から日本の景気が悪化するとともに、金融市場では不安感を強めた。そこに米国の強いドル政策が加わったことなどによる円安が起きていた。6月には日米による円買い・ドル売り協調介入が実施された。
世界的な金融システム不安の台頭によって、日銀は1998年9月の金融政策決定会合において無担保コール翌日物金利の誘導目標を0.25%に引き下げた。3年ぶりの金融緩和を受けて、長期金利は初の1%割れとなり、さらに低下して0.7%を一時割り込んだ。
9月19日には「金融再生法」が修正された。その後長銀そして日債銀がこれに基づき国有化された。
11月17日に、米国格付け会社ムーディーズが日本国債の格下げを発表。公的部門の債務膨張も、格下げの大きな理由とされていた。
12月1日の蔵相発言などがきっかけとなって起きたのが日本国債の急落、いわゆる資金運用部ショックである。
運用部の買い切りが1月から中止されるとの報道もあり、ついに債券先物は130円52銭と1988年8月以来のストップ安となった。現物市場ではさらに一段と売り込まれ、10年債利回りは9月に0.7%割れとなっていたものが、2.4%台に上昇した。