米長期金利の4%は通過点か。米消費者物価の水準は1981年以来だが同年の米長期金利は一時15%台
20日の米10年債利回り(以下米長期金利)は一時4.24%と2008年6月以来の水準に上昇した。2008年9月のリーマンショックなどからそれ以降は、リスク回避の動きとともに、FRBの金融緩和策などにより、米長期金利は低迷していた。しかし、世界的な物価の上昇により、それ以前の水準に米長期金利は戻ってきたともいえる。
あらためて米長期金利の推移をみてみると、2008年7月あたりまでは4%を超えているのが普通となっていた。1985年あたりは10%を超える水準で推移していたぐらいである。
米国の消費者物価指数は、今年6月分が前年同月比9.1%の上昇となっていた。9%台の上昇率は1981年11月以来、約40年半ぶりとなった。その1981年の9月に米長期金利は15%もの水準となっていたのである。
何故、1981年に二桁の長期金利が発生していたのか。
1981年1月に大統領に就任したロナルド・レーガンは歳出削減と減税の組み合わせにより小さな政府を目指し、併せて規制緩和を推進することで民間活力を再び引き出そうとした。いわゆるレーガノミックスと呼ばれた政策である。
大幅減税に関しては予定通り実施したものの、歳出削減については、レーガン大統領自身が「強いアメリカ」を標榜して国防予算を膨らませてしまったことから、むしろ財政赤字は減るどころか急増してしまった。
金融政策はインフレ抑制のために引き締めを続けたことで、財政拡大と金融引き締めのポリシーミックスにより、必然的に高金利とドル高が生み出されたのである。
このように1980年代の前半は、財政赤字に伴う米国債の大量発行もあり、米国債の金利が年利10%台と高くなっていたのである。
さすがに今回は二桁の米長期金利は考えづらいものの、米長期金利が4%を超えると次のチャートの節目は4.5%や5%となり、4%は通過点となる可能性がある。
参考までに1981年のドル円は200円を超えていた。