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日本の企業物価指数は過去最高を更新

久保田博幸金融アナリスト
(写真:つのだよしお/アフロ)

 日銀が10日に発表した7月の企業物価指数速報値は114.5と、前年同月比8.6%上昇となった。前年の水準を上回るのは17か月連続となる。7月の指数は調査を開始した1960年以降で最も高かった。

 6月の上昇率は先月発表時点の9.2%から9.4%に、4月も9.9%から10.0%にそれぞれ上方修正された。4月の上昇率は1981年1月以降で最も高い。

 ロシアによるウクライナ侵攻に伴う供給制約への懸念でエネルギーなどの資源価格が高止まりしていることに加え、円安が拍車をかけている。円ベースの輸入物価の上昇率は48.0%となり、ドルなど契約通貨ベースの25.4%を大きく上回った。

 寄与度が高いのは、事業用電力、都市ガスなどの電力・都市ガス・水道料金と、配合飼料、小麦粉、植物油搾かすなどの飲食料品となっている。

 WTI先物は3月上旬に一時130ドル近辺まで上昇していたが、ここにきて100ドル割れとなっている。しかし、ロシアから欧州への天然ガスの供給が減少するなどしており、エネルギー価格は大きく崩れることも考えづらい。

 ロシアによるウクライナ侵攻は続いており、原油などのエネルギー価格だけでなく穀物価格など高止まりが続く可能性はある。今後、多少落ち着くことはあっても、企業物価指数の高止まりが継続する可能性は高く、一時的という表現は使えないであろう。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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