キャッシュレス決済は広がるものの、クレジットカードの新規発行は伸び悩み、銀行はデビットカードを新たな収益源と捉える。三井住友、みずほ、りそなの3大手行の2021年度の新規発行は計140万枚規模とクレカを逆転している(7日付日本経済新聞)。

 キャッシュレス推進協議会の利用動向調査によると、2021年のQRコード決済の取扱高は前年度比7割増の約7兆3487億円に。これまでキャッシュレス決済の主流だった「Suica」などの、ICチップを使ったプリペイド型電子マネーの約6兆円、デビットカードの約2兆8000億円を上回った。

 取り扱いでみると80兆円規模のクレジットカードに対して、銀行による発行枚数では2021年度ではデビットカードが上回ってきたのである。デビットカードは基本的にクレカと同じ専用端末で決済するため、使える店は多い。

 2022年4月に成人年齢が引き下げられ、銀行は18歳未満でも持てるデビットカードを若年層との日常的な接点のひとつとして戦略を強化している側面がある。デビットはクレカと違い審査が不要で、現金を持たずに高額決済もできる(7日付日本経済新聞)。

 当たり前ではあるが銀行の口座には利用額以上の預金があることが条件ではある。

 デビットカードは銀行にとって、現金志向の人を囲い込む選択肢の一つだ。口座開設の際、同時にクレカの発行も案内するが、後払いに抵抗感がある人やクレカの審査に通らない人もいる。そういった層にデビットを選んでもらえば決済の指定口座として頻繁な取引が見込め、加盟店から手数料収入も得られる(7日付日本経済新聞)。

 成人となり、銀行口座をあらたに持とうとする際に、キャッシュカードにクレジットカードの機能を持たせるものがある。しかし、それに対して抵抗感がある人もいよう。それに対してデビットカードは審査などは必要ない。スマートフォンを決済端末にタッチするだけでデビット決済できる機能も存在し、QRコード決済と同様の使い方も可能となる。クレカをつくるより先に銀行口座の開設にあわせてデビットカードを手にする人が多いようである。

 日本でも政府はキャッシュレス決済を進めようとしているが、小口決済については現金への信用度が高いこともあり、その意味ではキャッシュレス決済の比率は低いとされていた。しかし、ICチップを使ったプリペイド型電子マネーやQRコード決済などはそもそも日本の技術であり、小口決済だけでなく総じてみたキャッシュレス化は決して遅れはとってはいない。

 とはいえ若者を中心にQRコード決済も浸透しつつあり、そして今度はこれまでなかなか普及が進まなかったデビットカードの発行枚数も増加してきた。韓国などでのキャッシュ決済の普及にデビットカードの普及が大きく貢献していた。中国ではQRコード決済といったように国ごとにキャッシュレス決済には特色がある。日本についてはクレジットカードやICチップを使ったプリペイド型電子マネーが先行していたが、今後はその構図に変化が出てくることも予想される。