スリランカが対外債務でデフォルトか
スリランカ中央銀行は12日、ハードデフォルトを回避するため、対外債務の返済を一時停止すると表明した。限られた外貨準備が燃料など必需品の輸入に必要だとしている。中銀のナンダラル・ウィラシンハ総裁は「債務返済は困難で不可能との結論に達した。最善の策は債務を再編してハードデフォルトを避けることだ」と記者団に述べた。スリランカ政府は一部対外債務についての支払いを停止し、債務再編を目指す方針を明らかにした(12日付ロイター)。
スリランカはインド洋に浮かぶ島国。正式名称はスリランカ民主社会主義共和国。人口は約2192万人。ロシア軍のウクライナ侵攻に伴う通貨下落に起因する深刻な経済危機が続いており、物価高騰が進み、深刻な食料難の恐れが指摘されている。さらに中国などに対する債務累積問題も抱えそれが今回、対外債務の一部デフォルトというかたちで表面化した。
スリランカの総債務返済額は2022年に70億ドルに達したとの見方がある。
ロイターによると、スリランカは国際通貨基金(IMF)とローンプログラムについて、来週協議を開始する。同国の外貨準備は3月末時点で19億3000万ドル。7月に満期を迎える10億ドルの国債を含め、今年は40億ドルの対外債務の返済が予定されている。
ただし、スリランカではインフレ率が20%に達し、電力不足も深刻で国民の抗議活動が広がっている。各地でラジャパクサ大統領の辞任を求めるデモが続いており、国会では与党議員から造反者が相次ぎ、与党は単独過半数を割り込んだ。このため、IMFとの協議はずれ込むとの懸念がある。
スリランカのデフォルトによる日本経済への影響はそれほど大きくはないとみられる。しかし、今後はあらためて新興国の債務問題に焦点があたるとともに、物価の上昇、通貨安などによる経済危機も拡がる恐れもある。
債務が膨張しているのは新興国ばかりではない点にも注意する必要はあろう。