19日の欧州債市場で、ドイツの10年債利回りが2019年5月以来初めてプラスに転じた。

 ドイツ連邦統計庁が1月6日に公表した2021年12月の消費者物価指数は前年同月比で5.3%上昇した。11月の5.2%を上回り、ドイツ統一からまもない1992年6月以来、約30年ぶりの上昇率となった。

 EU=ヨーロッパ連合が7日発表した12月のユーロ圏の消費者物価指数は、前年同月比で5.0%の上昇となった。これまでで最も高い伸び率を2か月連続で更新した。

 ECBのラガルド総裁は、現在のインフレ高進が持続する可能性は低いとの見解を示していた。

 それに対し、ドイツ連銀のヨアヒム・ナーゲル新総裁は1月11日の就任後の初スピーチで、高インフレが現在の想定よりも長期化する可能性を警告し、ECB政策委員らに注視するよう促した。

 また、ECBの政策委員会メンバーであるビルロワドガロー・フランス中銀総裁はECBのインフレ予測は確実なものではなく、物価上昇がより持続的であればECBは行動すると18日に発言した。

 同日のナーゲル総裁就任イベントに参加したラガルド総裁もインフレと闘う姿勢を確認し、「物価上昇が多くの人の懸念を招いていることを理解し、その懸念を真剣に受け止めている。物価安定へのECBのコミットメントが揺るぎないものであると信じてもらいたい。インフレ期待を安定させユーロへの信頼を維持するため、それが必須だからだ」と語った(11日付ブルームバーグ)。

 市場ではECBの利上げの可能性を織り込みにきている。これを受けてユーロ圏の国債利回りが上昇し、ドイツの10年債利回りが2019年5月以来のプラスに一時転じたのである。

 ECBは12月16日の定例理事会で、主要政策金利を0.00%、預金ファシリティ金利をマイナス0.5%の現状維持とすることを決定した。

 次回のECB理事会の予定は2月3日となる。いまのところ年内の利上げはないとECBから示唆はされているが、欧州債券市場では9月か12月の理事会で利上げが決定されるとの見方が強まっている。

 しかし、仮にインフレが現在の想定よりも長期化する可能性が強まれば、早めに行動する可能性は否定できない。

 ECB理事会の開催は2月3日、3月10日、4月14日、6月9日、7月21日、9月8日、10月27日、12月15日の予定となっている。