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米長期金利は節目の1.9%近辺に到達、2%が視野に

久保田博幸金融アナリスト
(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

 米10年債利回りが今度こそ(?)節目とされる1.9%台をつけてきた。今年3月16日に「米長期金利の次の節目は1.9%近辺に」というコラムを書いていたが、この際には1.9%どころか1.8%にぎりぎり届かなかった。

 2020年3月に米10年債利回りは一時、0.31%まで低下した。新型コロナウイルスの世界的な感染拡大によるリセッション懸念に加え、原油先物価格が急落したことで、リスク回避の動きを強めたためである。

 その後、米10年債利回りは上げ下げし、8月に0.5%あたりまで低下したあと、じりじりと上昇基調に転じた。米10年債利回りは1%あたりが節目となっていたが、2021年に入り、その1%を突破した。

 米10年債利回りは1.2%が次の節目となっていたが、2月12日に1.21%まで上昇したことで、1.2%の節目を抜けてきた。さらに次の節目は、チャート上は1.6%あたりとなった。2月25日に米10年債利回りは1.61%に上昇し、次の節目に到達した。

 そして3月30日の東京時間に米10年債利回り(米長期金利)はじりじりと上昇し、1.75%あたりまで上昇した。米国時間の早朝には1.77%に上昇した。

 チャート上、この1.6%を抜けると、次の節目は2019年12月あたりの水準である1.9%近辺となっていたが、結果として1.8%にも届かなかった。

 その後、7月には1.2%割れまで低下し、ここで底を打った。その後、再び米10年債利回りは上昇基調に転じたのである。

 9月22日のFOMCではテーパリングが近く正当化されるとし、次回11月のFOMCでのテーパリング開始決定が示唆された。パウエルFRB議長は、利上げには慎重に臨む姿勢を改めて強調した。ただし、ドットチャートでは利上げ開始時期が来年に前倒しされた。

 FRBの金融政策の正常化が意識されての米10年債利回りの上昇であったが、その後、テーパリングを加速させた。早期の利上げも示唆されたことで、米10年債利回りは3月30日の水準を抜けて1.8%台に上昇した。

 こうして今度こそ2019年後半から2020年はじめにつけていた1.9%台を一時19日に付けてきたのである。

 18日の東京時間で米債の仕掛け的な売りが出ていたが、原油価格の上昇などがきっかけとなった可能性はあるものの、チャートを意識したテクニカル的な動きとなった可能性もある。

 ただし、問題は私がこういったコラムを書くと何故か金利上昇にブレーキが掛かることが過去に何度かあったことである。今回ももしや。。。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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