26日の新型コロナウイルスの変異株が南アフリカなどで見つかったことによる金融市場の混乱は一時的なものに収まる可能性がある。

 もちろんオミクロン株の感染状況をもう少し詳しく知る必要がある。いまのところ感染力は強力ながら、軽症にすんでいるとの報告もあったが詳しい状況はわからない。重症化が防げるのであれば経済への過度な影響はない可能性がある。

 新型コロナウイルスによる金融市場への影響について確認するには、昨年の2月から3月にかけての事例がある。当時の状況を振り返ってみたい。

 2020年2月21日から24日にかけて欧米の株式市場は大幅続落となった。韓国やイタリア、イランなど中国以外での新型コロナウイルスは感染者が急増した。25日には米国の疾病対策センター(CDC)が国民に対し、米国内での新型コロナウイルス流行に備えるよう注意喚起を行った。新型コロナウイルスが米国でも広がるとの懸念が強まったことで、これも株式市場の下げピッチを早めさせた。

 3月に入り米国内での新型コロナウイルスの感染者が増加した。9日にサウジアラビアによる原油増産観測などから原油先物価格が急落し、これも影響しダウ平均は2013ドル安となった。

 10日の東京時間でトランプ大統領が減税を含めた大規模な経済対策を発表すると報じられ、ドル円は朝方の102円近辺から午後に入り、105円台にまで値を戻してきた。このあたりからドル円は急速に値を戻すことになる。

 トランプ大統領が11日夜の演説で、新型コロナ対策として、13日から英国を除く欧州からの渡航を30日間禁止すると発表。これを受けて需要懸念に拍車が掛かった。12日のダウ平均は2352ドル安となり、過去最大の下げ幅を更新。下げ率(10.0%)も1987年10月19日のブラックマンデー(22.61%)以来の大きさとなった。

 15日にはFRBが臨時のFOMCで政策金利を実質ゼロとし、量的緩和政策も再開させた。さらに日米欧の中央銀行は米ドル・スワップ取極を通じた流動性供給を拡充するための協調行動を公表した。

 FRBは18日夜にMMF向けに資金供給を始めると発表、18日にはECBも緊急の資産購入を決め、19日にBOEも緊急利下げ等を発表。

 23日あたりから今度は米株などが急速に値を戻してきた。米議会で規模約2兆ドルの新型ウイルス対策法案が可決されるとの見方なども要因となったが、この株価の戻りによっていわゆるキャッシュ化によるドル高の流れが収まり、その反動が起きた。

 今回は日本が全世界からの外国人の新規入国を30日から原則停止とするなどしてきたが、それが特に材料視されるようなことはなかった。

 欧州などでは新型コロナウイルスの感染が拡大していたところに、今回の変異株が南アフリカなどで見つかったことで、やや市場が過剰反応した面もあった。

 欧米の株式市場では指数が最高を更新するなどしていたことで、きっかけ次第では調整売りが入りやすかった。

 今回も原油先物価格動きが激しかったが、これは原油価格の上昇抑制のために消費国が戦略備蓄を放出するとの動きもあって、下落ピッチを大きくさせたものとみられる

 2020年4月には原油先物の価格がマイナスになるなどの異常事態も発生していたが、むしろ今回は消費国にとってはちょう良い調整となった。しかし、このまま原油価格が落ち着くことも考えづらいか。

 依然として不透明感は残るものの、昨年の大きなショック後の金融市場の回復状況をみても、今回はその経験も生かされて、パニック的な動きは一時的なものに収まる可能性がある。