萩生田光一経済産業相は16日、「ガソリンなどの価格が一定の水準を超えた場合に元売り事業者に価格抑制の原資を支給する時限措置を考えている」と表明した。

 石炭や天然ガスなどのエネルギー価格が上昇し、それが原油価格にも波及してきている。エネルギー価格の上昇にはいろいろな要因が組み合わさっているものの、経済の正常化による影響が大きい。また、日本では円安による影響も受けやすい。円安によって原油などの輸入価格が上昇する懸念がある。

 政府は直接、OPECプラスなどに掛け合って原油価格の上昇抑制を図ることはしなかった。その代わり、原油価格は市場動向に任せるものの、ガソリン価格に170円という防衛ラインを設けた。そこを上回った際に170円を超えた部分を石油の元売り各社に補助金を出して、価格の上昇を抑制しようとするものである。

 しかし、原油価格上昇抑制のために元売り事業者に補助金を出すというのは世界的にみても極めて異例となる。元売りで価格を抑えても小売りとなるガソリンスタンドなどでの価格設定に強制力はない。

 補助金によって一時的に小売価格を抑えることはできたとしても、原油価格や円安の動向次第では、ガソリン価格が5円を超す上昇となる可能性もある。それにも対応するとなれば、バラマキ政策にもなりかねない。

 そして、今度は米国の主導のもと中国や日本の備蓄原油を放出させて価格を下落させようとの動きも出てきている。

 日本ではどうして原油を備蓄しているのか。それは非常時対応のためである。日本沈没までは想定はしていないと思うが、もし中東などからの原油輸入が一時的に止まっても、その備蓄で原油供給を補うものであり、非常時のために行っているものである。

 非常時対応のために備蓄したものを一時的にせよ放出して良いものなのか。さらにはその備蓄放出で一時的に原油価格を下落させても、それがどこまで続けられるかとの疑問も当然残る。放出できる量は限られている。原油備蓄の放出は産油国の増産意欲を削ってむしろ価格の一段の上昇につながるとの見方すらある。

 実際に米国やその他消費国が戦略石油備蓄(SPR)放出で協調した場合、石油輸出国機構(OPEC)と非OPEC主要産油国で構成する「OPECプラス」は先に計画したほど供給を増やさないのではとの観測が出ていた。

 原油価格上昇の背景には需要側としては経済正常化に伴うエネルギー需要の拡大がある。供給側としてはOPECプラスが増産に躊躇していることがある。

 現実にはこの需要を抑制させるか、原油増産を促すかする他はないのではなかろうか。価格上昇だけを抑制しようとしても、その価格上昇の根本原因を後退させなければ抑制そのものが無理となろう。