バイデン米大統領は22日、米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長を再任する方針を決めた。ホワイトハウスが発表した。パウエル議長は2022年2月に4年の任期が切れる。同時に、ホワイトハウスはバイデン大統領の意向として次期議長の有力候補だったブレイナード理事を副議長に指名する方針を表明した(22日付日本経済新聞)。

 これを受けて22日の米国債券市場では米10年債利回りが1.62%と前日の1.55%から大きく上昇した。

 バイデン大統領は次期議長候補としてパウエル議長とブレイナード理事を挙げていた。ハト派筆頭ともされるブレイナード理事が議長になった場合には、正常化のスピードがダウンするのではとの観測も市場参加者の一部にはあったとみられる。

 現実にはブレイナード理事が議長になってもFRBの正常化に向けたスタンスに変更はないと思われた。しかし、パウエル議長の再任によってあらためてテーパリング後の利上げが再認識され、それが米債の下落に繋がったとみられる。

 23日の米債も同様の理由で売られ、米10年債利回りは1.67%に上昇していた。24日は1.69%まで上昇したが、その後1.63%に低下した。

 ここで注意すべきは欧州の国債の動きか。22日から23日にかけて欧州の国債も総じて大きく売られていたのである。FRBのパウエル議長の再任を受けた米債安の影響を受けたことも確かであるが、特に23日にはECB関係者の発言も意識されていた。

 ECBのシュナーベル専務理事はブルームバーグのインタビューで、ユーロ圏のインフレ率は来年、従来の想定から上振れると見込まれ、中期的にも、ECBの目標を上回る水準にとどまる可能性があるとの見方を示した。

 さらにクノット・オランダ中銀総裁もユーロ圏のインフレ率は新型コロナウイルスのパンデミック前でなく、ECBの目標である2%に近づくと見込まれ、金融緩和の縮小を正当化すると主張した。マクルーフ・アイルランド中銀総裁は現行のインフレ傾向が持続すればECBが金融政策を変更する可能性が高まると述べた(23日付ロイター)。

 ドイツ連邦銀行のワイトマン総裁は12月31日付で退任すると発表している。ECBのタカ派筆頭とされるワイトマン総裁の退任で、ECBは正常化に向けて余計に慎重になるとの見方も強まり、ドイツなど欧州の国債利回りは低下基調に転じるなどしていた。

 しかし、そういった市場の見方に修正を加えるような動きがここにきて出てきたのである。それだけ欧州での物価上昇も危惧しているとの見方もある。FRBの正常化路線に修正がないことを確認し、ECBも動ける状態にしておきたいとの意向の現れなのかもしれない。