円安に良いも悪いもないと思うが、ここにきて円の動きがこれまでと異なりつつあるので注意が必要となる。

 14日の欧米市場では、その要因はさておき米国債も欧州の国債も利回りが低下していた。それにもかかわらず、ドル円・ユーロ円ともに上昇していた。15日の東京時間でドル円は114円台に乗せ、ユーロ円は132円台に乗せてきた。

 ここにきて円安の動きが加速しているが、仕掛け的な動きが入っていると思われる。その背景として長期金利の動向が挙げられよう。

 FRBは早ければ11月にもテーパリングを開始する。テーパリングが終了後、来年中の利上げも視野に入りつつある。

 ECBはラガルド議長がテーパリングではないと主張しても、実質的に買入資産を縮小させてきている。少なくとも緩和からの方向転換を行ってきている。

 イングランド銀行は関係者の発言などからも利上げが視野に入りつつある。

 このように欧米の中央銀行が非常時の金融緩和策からの方向転換を図りつつある。これに対して、日銀は物価目標を達成する見込みは現状なく、姿勢の方向転回はできない状態にある。政策目標を金利に戻したことで実質的なテーパリングは行ったものの、マイナス金利政策からの脱却は黒田総裁の任期中は無理だとの見方も強い。

 このため、今後は日本の長期金利と欧米の長期金利の格差が拡大してくるであろうとの予想が当然出てくる。ここにきての欧米の物価の高止まりも金利差拡大の要因となる。日本はなぜか企業物価指数は欧米同様に上昇しても、消費者物価はゼロ近辺にある。

 今後はこの円安が加速してくることも予想されるが、それによって果たして日本経済が恩恵を受けるといえるのであろうか。輸出企業にとっては好材料かもしれないが、円安は物価上昇要因ともなる。原油高などエネルギー価格の上昇もあって、タイムラグはありながらも消費者物価も動き出す可能性がある。

 これによって日銀の物価目標に消費者物価指数が接近するかもしれないが、これが日銀が求めていたデフレ脱却なのであろうか。デフレマインドの払拭とかいっても結局は円安と原油高頼みであったということになりかねない。

 日銀が動けないであろうということを良いことに、さらに円安を仕掛けてくる可能性がある。金融市場ではそういった弱いところを突いてくる。それが日銀の、いや政府も含め求めていたものであれば、叶ったりとなるであろう。しかし、もしそうでないのであれば、日銀は金融政策の柔軟性を確保すべく動きに出る必要があろう。