米労働省が13日発表した9月の消費者物価指数は前年同月比5.4%の上昇となった。8月の5.3%から伸びが加速し、5か月連続で5%を超えた。変動の大きい食品とエネルギーを除く上昇率は前年同月比で4.0%と、前月と変わらない水準となった。

 過去に例を見ない輸送面での障害や資材不足、商品価格の高騰、賃金上昇が重なり、生産者にとってのコストが急騰している。多くの生産者がその一部を価格転嫁しており、米金融当局を含む多くのエコノミストが想定していた以上の根強いインフレにつながっている(13日付ブルームバーグ)。

 日銀の黒田東彦総裁は13日、欧米諸国で消費者物価の上昇率が物価安定目標の2%を超えているのは事実だが、それは「一時的な要因」によるものだとの見解を示し、「一時的要因」はサプライチェーンの混乱などだと指摘した。

 FRBのパウエル議長も、物価の急激な上昇は一時的な現象で、供給網の混乱が収まれば次第に落ち着くという見方を示している。

 問題はその一時的というのがどの程度の期間であり、2%近辺の目標値近辺にはいつ頃、収束するのかであり、それについて具体的に示されてはいない。

 欧米の中央銀行にとり、足下の物価高は金融政策の正常化を促す要因ともなりうる。

 13日には9月21日、22日に開催されたFOMC議事要旨の発表があった。テーパリングの11月半ばあるいは12月半ばの開始で当局者の意見がおおむね一致した。つまり、11月のFOMCでテーパリングが決定され、年内に開始される可能性が高い。

 これはすでにFRB関係者からの指摘もあり、市場もほぼ織り込んでいる。13日の米10年債利回りは低下したが、これは買い戻しの動きであったと思われる。これに対し中短期債は売られた。物価高による早期利上げが意識された可能性もあるが、長短スプレッドの拡大に掛けていたポジションの巻き戻しが入った可能性もある。

 いずれにしても、FRBはまずテーパリングに着手する見込みとなっている。ECBもテーパリングを開始している。イングランド銀行は利上げを視野に入れている。

 日銀は政策目標を金利に戻す格好で実質的なテーパリングは行ってきた。ただし、消費者物価が上がらず、正常化には向きが変えられずにいる。

 気になるのは、日銀が発表している国内企業物価指数である。9月は前年比プラス6.3%と、2008年9月以来13年ぶりの高い伸びとなった。

 日本国内でも物価は上昇しているが、それが消費者物価指数では反映されていない。これは本当に企業が価格転嫁が出来ないためなのであろうか。それでもこのまま原油価格が上昇すれば、円安と相まって消費者物価指数も日銀の物価目標に向かい、上昇してくる可能性はある。