20日の欧米市場ではリスク回避のような動きとなり、株価は下落し国債は買われた。このきっかけとされたのが、中国の不動産開発大手、恒大集団(Evergrande Group)が、巨額の債務を抱えて経営破綻の瀬戸際に追い込まれているとの観測からである。

 ただし、突発的に経営破綻の話が出てきたわけではない。21日、22日のFOMCを控え、テーパリング観測も出ていることで神経質ともなっていた。そして、米国株式市場ではここにきてやや調整局面ともなり、上値が重くなっていた。ダウ平均の日足チャートをみても下に抜ける懸念があり、恒大集団の経営破綻の懸念でアジア株が下落し、欧州市場も動揺を見せたことで、米国市場も大幅な下落となったとみられる。

 そのきっかけとなった中国の不動産開発大手、恒大集団であるが、何が問題となったのであろう。

 恒大集団とは中国国内での最大級の民間複合企業である。280以上の都市で事業を展開し、20万人の直接雇用と380万人の間接雇用を創出しているとされる(20日付けAFPBB News)。

 中核は不動産業だが、近年は多角化を進めサッカークラブの広州FCの運営母体でもある。ミネラルウオーターや食品の販売も手掛け、観光業、インターネット関連サービス、保険、ヘルスケアにも投資し、テーマパークも建設しているとか。

 恒大集団は中国国内の不動産バブルを追い風に買収を積極的に行ってきたが、9月に入ってから、負債総額が1兆9700億元(約33兆5000億円)に膨れ上がり、デフォルト(債務不履行)に陥るリスクがあると警告した。

 異業種進出が次第に足かせとなっていたところに、コロナ禍が不動産業界を直撃、そして最も影響があったとみられるのが、習近平政権の動きであったように思われる。

 中国はコロナ禍によって経済格差がますます拡大し、カネ余り現象が大都市圏の不動産価格の高騰を生んでいた。このため、中国政府は昨年、「三道紅線(3本のレッドライン)」政策によって、不動産開発業界への締め付けを決定した。今年1月からは、住宅ローンや不動産企業への融資に総量規制を設けるなど規制を強化させたのである。

 恒大は資金繰りが回らなくなり、大きな負債を抱えていたところ、大型マンション開発プロジェクトやテーマパークの工事がストップする事態となった。請負業者に対し、現金ではなく未完のマンションで支払い始めたともされた。

 8月10日に恒大は資産売却計画を発表したが、いざとなれば資産を売れることを示し、市場の不安を払拭しようとしたが、むしろ不安を煽ったような格好となった。

 8月17日には、グループの総帥として君臨してきた許家印董事長が辞職。19日に恒大集団は、中国人民銀行、中国銀行保険監督管理委員会との面談を受け入れた。それでも恒大関連株の株価は下落し続けた。

 中国恒大が抱える3000億ドル(約33兆円)もの債務履行を巡る不安が市場を揺るがしたのである。

 中国住宅都市農村建設省は先週、中国恒大の主要債権金融機関に対し、同社が20日に融資の利払いを行えない見通しだと伝えた。

 中国恒大の発行済みドル建て債13本のうち1本は、世界で最も広く取引されている銘柄の一つとされる。

 ただし、海外投資家への影響は限られたものとなりそうである。あくまで中国国内での影響が極めて大きい。それでもそれが中国国内の金融危機を誘発すると海外市場、つまり欧米や日本の市場にもインパクトを与えかねない。

 これには中国政府がどのように対応するのかが最大の注目点となる。大きすぎて潰せないとするのか、それとも、のし上がってきた民間企業に対しては冷めた対応をしてくるのか。アリババなどへの中国政府の対応をみると、後者になる可能性もないとはいえないかもしれない。