その気配は7月19日の東京市場の引け後にあった。前日の米国市場で1.29%となっていた米10年債利回りは1.25%に低下し、つられてドル円も109円70銭あたりに下落した。日経平均先物も下落し、米株価指数先物ともにチャートをみても下をトライしそうな動きになっていた。

 あくまでチャート上でみてということになるが、もし米10年債利回りが1.2%を割り込むようなことになれば、1%も見えてくる。いずれにしても何ら材料が見当たらないなかのこの動きは、チャートを意識したものでテクニカルな動きを誘うようなものとなっていた。

 その動きは19日の米国市場でも継続した。米10年債利回りは一時1.17%まで低下した。新型コロナウイルスの感染力の強いインド型の感染拡大が要因とされているが、たぶん後講釈に過ぎないというか、ほかに要因が見当たらないことで、それが説明要因となったに過ぎないとみている。

 今回起きたのはチャートも意識された仕掛け的な動きであったと思われる。市場参加者にとっては嫌な動きが起きたことで、買い戻しや投げ売りが誘発された可能性が高い。

 つまり米国債市場では物価も高く、いずれFRBはテーパリングを行うはずで米債利回りが低下するのはおかしいとの認識も強かった。しかし、相場は逆の動きとなり、ここから米10年債利回りが低下するとチャートからみてさらなる低下が意識される水準にまで米債は買い進まれた。

 米国債利回りの低下は、今回はリスク回避の動きと捉えられた。その理由付けがインド型の感染拡大となった。このため株式市場にとっては下要因となり、ダウ平均は725ドル安。外為市場では円高を誘発した。それが原油先物市場にも飛び火し、WTI先物価格は急落し、WTI先物8月限は5.39ドル安の66.42ドルとなった。

 これらを受けて20日の東京市場では株安・債券高とはなったものの、こちらは比較的冷静な動きとなった。

 日本の10年債利回りのゼロ%も意識されたのかもしれないが東京時間では仕掛け人が動いてなかった。もしくは仕掛け的な動きは米国時間で終了。ストップロス等は入ったが、それがトレンドを形成させるほどのものではなかったともいえるのかもしれない。

 しかし、東京時間でビットコインが3万ドルの大台を割り込んだが、こちらを仕掛けていた可能性はある。これもある意味、リスク回避となるか。

 いずれにしても東京オリンピックも控え、やや神経質な地合ともなりつつあり、このような仕掛け的な動きが入りやすいともいえるのかもしれない。

 20日の米国市場でも仕掛け的な動き、もしくは売り方のショートカバーか、米10年債利回りは1.12%まで低下したが、そこから急反発し、1.22%に。米長期金利が結果として上昇したのをみて米国株式市場は買い戻され、ドル円も反発していた。