10日に発表された米国の5月の消費者物価指数は、前年同月比5.0%の上昇となり、2008年8月以来、約13年ぶりの大幅な伸びとなった。これを受けて米10年債利回りは一時1.53%に上昇したものの、押し目買いというか買い戻しの動きから、1.43%と前日の1.49%から大きく低下していた。

 ある程度の5月のCPIの上昇は織り込まれていたとか、前月での伸び率が鈍化していたからとの見方もあったが、ショートカバーが入りやすい地合となっていたためと思われる。

 米10年債利回りやドイツの10年債利回りはそれぞれ1.7%近辺、マイナス0.1%近辺まで上昇したが、そこがいったんピークとなり、低下基調となっていた。米CPIに向けてショートポジションもある程度積み上がっていたとみられ、そのポジション調整の買い戻しとの動きであったとみられる。

 11日の米債はいったん1.42%まで低下したあと、1.45%に上昇し、14日の東京時間で1.46%をつけていた。ショートカバーの動きはひとまず終了した可能性がある。

 11日の日本の債券市場でも10年債や債券先物といった流動性が比較的高いものが買われていた。債券先物は中心限月の移行も絡んで比較的大きな動きとなり、10年債利回り(長期金利)は0.025%まで低下した。

 日本の10年債利回りは再びゼロ%に接近したが、ここは大きな壁となる。市場参加者、そして日銀にとっても日本の長期金利のマイナス化は避けたいところであろう。

 日本のCPIはまだ前年比マイナスであるが、日銀が10日に発表した5月の国内企業物価指数前年同月比で4.9%もの上昇となっていた。

 4月と5月については、前年同月に大きく落ち込んだ反動という側面もあり、やや大きく数字が出やすい。問題は6月以降となる。

 ここにきて原油先物価格はWTIで70ドルを回復している。コロナ禍以前の水準を回復すると見込まれる原油需要を満たすため、IEAはOPECプラスに対し、生産量を引き上げる必要があると指摘した。

 これは原油に限ったことではない。ワクチン接種の進む欧米では経済の正常化に向けて動きつつある。日本もワクチン接種は急速に進みつつある。

 もちろん変異種の感染拡大にも注意を払うべきではあるものの、経済そのものは回復に向けた動きを今後、強めることも予想される。それは物価や長期金利に反映される。

 それをFRBはどのようにみているのか。それが市場参加者にとっての今後の焦点となる。ECBは慎重姿勢を示したが、FRBの動向を確認したいという側面もあったのではなかろうか。

 FRB次第の面はあるが、米長期金利に再び上昇圧力が強まることも想定される。今回もたまたまそうなった面はあるものの、日本の長期金利はゼロ%近くに低下後、跳ね返されることも予想される。