米国のイエレン財務長官は6日、ロンドンで開かれた主要7か国(G7)財務相会合の終了後、帰国途中にブルームバーグ・ニュースとのインタビューに応じ、「やや金利が高い環境になったとしても、社会の観点ならびに米金融当局の観点では、実際にはプラスになるだろう」と述べた。

 「われわれはあまりにも低過ぎるインフレ、およびあまりにも低過ぎる金利とここ10年にわたって闘ってきた」と同氏は説明。正常な金利環境に「戻ることをわれわれは望んでいる」とし、「状況を若干是正する一助になるのであれば、それは悪いことではない。むしろ良いことだ」と話した(7日付ブルームバーグ)。

 たしかに、あまりにも低過ぎるインフレ、およびあまりにも低過ぎる金利は決して良い環境ではない。正常な金利環境に戻るということは、正常な経済活動に戻ることを示している。

 イエレン長官らは現在の物価上昇は新型コロナウイルスのパンデミックで生じたサプライチェーンのボトルネックや経済再開に伴う支出増加といった一時的な異常が要因だと指摘する。それはそうであろう。そして、イエレン氏は経済対策による物価の「急上昇」があるとしても来年には徐々に弱まるとの見方を示した。

 米国の4月の物価指標は前年同月比で大きく上昇した。これは昨年が大きく落ち込んでいた反動に加え、ここにきてワクチン接種の拡大による経済活動の再開による影響も出ていた。前者は次第に落ち着くとみられるが、後者はこれからさらに拡大してくる可能性が高く、少なくとも年内の米国の物価には上昇圧力が強まる可能性は高い。

 今回のイエレン氏の発言は、やや金利が高い環境を容認した格好となった。つまり将来のFRBによる利上げも容認したように思われる。イエレン氏はFRB議長として2014年のテーパリングを行った。その後の利上げも主導していたが、新型コロナウイルスのパンデミックによってFRBは再び超緩和策に巻き戻されることになった。

 しかし、米国での経済正常化を受けて、イエレン氏は金利が上昇できる環境が整いつつあることを示した。これはFRBにとってはテーパリングを準備できる状況になったことを示すものとも言える。

 イエレン長官は、バイデン政権の歳出計画を年間ベースで見ると約4000億ドルとなり、行き過ぎたインフレを招くほどではないと強調していた。それはそうかもしれないが、バイデン政権の財政政策に対し、米国債券市場が注意しているのは、それによるインフレ圧力よりも、財政悪化ではなかろうか。これによる長期金利の上昇懸念についてはイエレン氏はどう見ているのであろうか。