世界の食料価格は12か月連続の上昇となり、2011年9月以来の高水準に。これは一時的なのか
国連食糧農業機関(FAO)が算出する世界食料価格指数は先月、2011年9月以来の高水準となり、過去10年で最長となる12か月連続の上昇を記録した(3日付ブルームバーグ)。
5月の上昇は、2010年10月以来最大の前月比の上昇となった模様。5月の急激な上昇は、油、砂糖、シリアルの価格の急上昇に加えて、肉と乳製品の価格上昇も反映していたようである。
主要な穀物の中ではトウモロコシの国際価格が最も上昇していたが、ブラジルでは農作物の主要産地で干ばつが発生し、トウモロコシからコーヒーに至るまで収穫に影響が出ているという。加工食品などに使う植物油も値上がりが目立つ。
日経新聞によると、食料価格の上昇の理由は他にもあり、新型コロナウイルス禍による移動制限で農作業の担い手である外国人労働者が不足していることも影響しているとか。これは日本でも指摘されている。
食料価格の上昇は天候などの要因もあろうが、ワクチンの普及で想定以上に需要が急回復し、生産が追いつかずに価格が上がりやすくなっている側面もある。そうであれば、この傾向はこれからも続く可能性がある。
これを受けて企業は価格転嫁を迫られている。米食品大手ゼネラル・ミルズは穀物相場の高騰で、シリアルなどの値上げに踏み切るとか。
日清オイリオグループは5月25日、原料価格の高騰が続いていることを受け、8月1日納入分から家庭用食用油などの価格を引き上げると発表した。家庭用食用油の価格を1キログラムあたり50円以上引き上げる。すでに公表している4月と6月の納入分からの価格改定に続き、今年に入り3度目の値上げとなる。1回の価格改定の値上げ幅としては記録が残る2006年以降では過去最大の規模となる(5月25日付日経新聞)。
欧米の4月の消費者物価指数は前年比で大きく上昇していた。これは一時的との見方がある一方、物価は当面高止まりするとの見方もある。これは今後の欧米の中央銀行の金融政策にも影響を与えることが予想される。