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星の運行と金融相場、マーケットサバイバルの手法

久保田博幸金融アナリスト
(写真:アフロ)

 26日は、夕方からスーパームーンの皆既月食がみられたはずが、我が家からは見ることはできなかった。このような天体の運行から株式や為替、債券の相場動向を占うという手法が存在する。アストロロジー(金融占星術)が呼ばれるもので、私も債券ディーラー時代にはまったことがある。ロケット博士と呼ばれた糸川英夫氏が書いた細密占星術という本も買った。

 アストロロジーがディーリングに使えたというより、あくまでひとつの参考指標としてみていたと思う。これもアノマリーと呼ばれるもののひとつであったのかもしれない。

 1985年あたりから債券市場も含み、金融市場はディーリング時代を迎えた。1985年にはプラザ合意があり、債券先物取引が東京証券取引所に上場した。1980年代後半はいわゆるバブル期とも呼ばれ、株や土地の価格が上昇し、債券市場もバブルの様相を強めた。しかし、債券市場のバブルは1987年にいったん終了していた。しかし、株式市場は1989年末まで続いていた。

 このときの金融市場でのバブル相場では、証券会社や銀行などの金融機関に勤めるサラリーマン・ディーラーが主体であった。のちに個人もFXや株式市場に参戦し、個人のディーラーも増え、その際にいろいろな取引手法が紹介されていた。しかし、それらのほとんどはすでに1980年代のサラリーマン・ディーラーが活用していたものでもあった。

 ディーリングのような短期売買が主体となれば、ファンダメンタルズよりもテクニカル分析が主体となるとともに、パターン分析なども必要になる。いくつものアノマリーも生まれ、占星術まで手を出すようになっていたのである。これらはマーケットサバイバルのひとつの手法であった。

 発表される経済指標などに一喜一憂することもあったが、所詮、それらは過去の数字であり、ディーラーはいまの状況を肌で感じる必要があった。たとえば、中央銀行の金融政策の行方を先物を使って指数化するものもあるが、そのようなものを使わなくても、いまの中央銀行がどのような状況で何を考えているのかを敏感に感じ取ることも特に債券ディーラーなどでは重要なセンスとなっていた。

 しかし、1987年あたりで債券バブルはピークを迎え、1989年末に株式市場のバブルもピークアウトした。証券会社での自己での取引は次第に縮小していった。

 その後はFXなどで個人が参入し、やはり個人も同じようなセンスが必要とされたと思う。そしてテクニカル分析なども流行っていたと思う。ただし、長年の経験者として一つ注意したいのは、どのようなAIが生まれようとコンピュータで相場の先行きを占って儲ける、儲かるシステム売買などはないということである。

 大きな注文の少し先に注文を出すとかいった手法であれば、儲けることはできる。しかし、これは市場の隙を突いたものであり、実は昔にも金融市場が成熟する前に、規制の隙を突いて大もうけしたような人もいたが、これはシステム売買などではない。

 現在でも市場が成熟しておらず、規制が入っていない市場があらわれた。いわゆるビットコインなどの仮想通貨を売買する市場であり、かつて金融市場で相場を張っていた人たちもここに乱入していたように思われる。しかし、いずれ相場は繰り返すことにも注意する必要があろう。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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