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2020年度のGDPは戦後最悪なのに18日の日経平均は上昇、やや先取りし過ぎか

久保田博幸金融アナリスト
(写真:長田洋平/アフロ)

 18日に発表された2021年1~3月期の国内総生産(GDP)速報値は物価変動の影響を除いた実質の季節調整値で前期比1.3%減、年率換算で5.1%減となった。マイナス成長は3四半期ぶりとなる。

 2020年度では前年度比4.6%減となり、落ち込み幅はリーマン・ショックがあった2008年度の3.6%減を超え、戦後最悪となった。ただし、政府の見通しの5.2%までの落ち込みとはならなかった。

 1~3月期の個人消費は前期比1.4%減。1月8日に首都圏1都3県(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県)に対して2度目の緊急事態宣言が発出され、この緊急事態宣言を受けた外出自粛や、飲食店での時短営業などが消費を抑制した。

 設備投資も1.4%減となり、2四半期ぶりにマイナスになった。4.3%増加だった10~12月期の反動減もあった模様。

 3度目の緊急事態宣言の影響により、今年の4月から6月までのGDPも伸び悩みが確実とみられ、二期連続でのマイナスの可能性がある。

 日本でも新型コロナウイルスのワクチン接種が始まったものの、摂取率は世界のなかでもかなり遅れている。接種が進んだ国では、正常化に向けた動きも出ている。

 米国のニューヨーク州は新型コロナウイルスワクチン接種を完了した人についてはマスク着用義務を免除する方針とも伝えられた。

 18日の東京株式市場はGDPは過去の数字として認識されてかほとんど材料視されず、むしろ大きく買われ、トヨタ株などは上場来高値を更新した。世界的な景気の正常化を先取りしたかのような動きながら、日本のGDPを見る限り、先取りしすぎているようにもみえなくもないのだが。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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