米パイプラインへサイバー攻撃を仕掛けたダークサイドは身代金を受け取った後に暗号資産を盗まれて活動停止
今回の米国のインフレ懸念の強まりのひとつのきっかけともなっていた米国の主要パイプラインへのサイバー攻撃はあらたな展開を迎えた。
米最大の石油パイプラインを運営するコロニアル・パイプラインがランサムウエア(身代金要求型ウイルス)による攻撃を受けパイプラインを閉鎖していたが、同社はその後ハッカーらに身代金を支払っていたことが分かった。事情に詳しい関係者らが明らかにした。支払い後にコンピューターシステムのロックを解除するための解読ツールを入手したという(14日付WSJ)。
米石油パイプライン会社にサイバー攻撃を仕掛けた犯罪集団「ダークサイド」が活動停止を表明していることが14日わかった。米メディアが報じた。ダークサイドのサーバーが何者かに乗っ取られ暗号資産(仮想通貨)が盗まれたとの情報もあり、米国で燃料供給不安を引き起こした事件は新展開を迎える(14日付日経新聞)。
サイバー攻撃を受けたコロニアル・パイプラインは全てのパイプラインシステムが再稼働し、メキシコ湾岸の製油所から東海岸への石油輸送を開始したと発表した。ただ、出荷が通常に戻るには数日かかる見通しで、南・東部では依然として燃料不足が解消されていない。
ダークサイドの解散表明に関して、米国政府が具体的にどのような役割を果たしたかはいまのところ定かではない。米国のバイデン政権はコロニアルの事件を深刻に捉え、ハッカーの活動拠点があるロシアの政府とも協議していたとされる。
もしコロニアル・パイプラインがわざと身代金を支払い、これをきっかけに「何者」かがダークサイドのシステムに侵入し、今度は暗号資産(仮想通貨)の口座をおさえ、身代金を取り返した格好となっていたのであれば、まさに小説や映画の世界となろう。