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銅や小麦、大豆などの価格が高騰、日本のマヨネーズ価格の上昇要因とも

久保田博幸金融アナリスト
(写真:ロイター/アフロ)

 26日の米国株式市場では、ナスダックとS&P500種が最高値を更新していたのに対し、ダウ平均は下落していた。ダウ平均の下落の理由として商品相場の上昇が指摘されていた。

 ロンドンの銅3か月物は26日に急伸し、9年9か月ぶりの高値を付けた。世界的な在庫低下を背景にトウモロコシや大豆など穀物も大幅高となった。商品高が原材料価格の上昇につながり、収益の重荷になるとの見方から消費関連株が売られた(27日付日経新聞電子版)。

 26日のロンドン金属取引所(LEM)の銅相場は約10年ぶりの高値に上昇した。アルミニウムも上昇しているほか、鉄鉱石は過去最高値を更新したとか。

 これは世界的なコロナ禍からの景気回復期待が背景にあるようだが、投機的な動きも入っているようである。

 米商品市場では農産物価格も高騰している。小麦とトウモロコシ、大豆はいずれも26日に2013年以来の高値を付けていた。

 ブラジル産地で降雨不足が続き二期作のトウモロコシの減産を警戒する買いが入った。アルゼンチンが自国の物価上昇を抑えるため輸出税の引き上げを検討しているとの報道が先週に流れ、世界の需給逼迫が深刻化するとの見方も支援材料になった(27日付日経新聞電子版)。

 大豆やトウモロコシの世界在庫が低水準ななか「相場がどこまで上がるのか予想がつかない。今年中に史上最高値を更新する可能性もある」との指摘もあったとか。

 このような農産物価格の高騰を受けて、日本の食品価格にも影響が出つつある。食品メーカーのキユーピーは、主な原料である食用油の価格が上昇しているとして、主力商品のマヨネーズを7月から最大で10%程度値上げすると発表した。値上げは2013年以来、8年ぶりとなる。食用油の原料となる大豆などの価格が、中国での需要の増加や主な産地の天候不順で上昇していることが背景にあった。

 世界的に食料品の価格は上昇していたが、今後さらに日本でも価格の上昇圧力が強まる可能性がある。

 23日に発表された3月の全国消費者物価指数は、生鮮食品を除く総合で同マイナス0.1%と依然としてマイナスとなっている。4月にはプラスに転じると予想されるが、今後の上昇幅についても注意深くみていく必要がありそうである。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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