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大手銀行はコンビニATMの手数料を改定、最高で一回あたり330円となるケースも

久保田博幸金融アナリスト
(写真:GYRO_PHOTOGRAPHY/イメージマート)

 4月1日から消費税の総額表示が義務化された。これとは別に4月は価格が改定されるものもある。そのうちのひとつが、コンビニのATM利用手数料である。

 三菱UFJ銀行と三井住友銀行は、これまでローソンのATMで平日の日中に現金を引き出した場合、手数料は110円だったが、これが220円に。三菱UFJは、セブン-イレブンのATMではすでに220円だったが、ローソンでも同じ手数料に合わせる格好になる。両行ともに平日の日中以外と土日・祝日については、220円から330円に値上げされる(3月31日付東海テレビ)。

 注意すべきは、三菱UFJ銀行では毎月25日と月末日の8:45~18:00はこれまでの110円から無料、それ以外の時間は220円から110円となることである。それ以外の平日の8:45~18:00が110円から220円に、それ以外の時間は220円から330円となる。使用頻度の高い日は値下げする反面、それ以外の日の日中を除くと330円に値上げされる。

 三井住友銀行は毎月25日と26日の8:45~18:00がこれまでの110円から無料に。上記以外の時間帯は220円から110円に。25日と26日を除く、それ以外の平日の8:45~18:00は110円から220円に。上記以外は220円から330円に値上げされる。

 コンビニによって手数料が変化するので注意も必要だが、日にちと時間帯によるが、最大の330円というのは大きな負担となりうる。

 金融機関によって手数料は異なるため、手数料をなるべく抑えようとすればそれは可能となる。三菱UFJ銀行では25日と月末、三井住友銀行では毎月25日と26日になるべくコンビニATMで現金を下ろすようにすれば負担は軽減される。

 しかし、それでもどうしても現金が必要なときは、一回あたり220円なり330円の手数料が掛かってしまうこともありうる。

 都会に住んでいると、その銀行のATMで下ろせば問題ない、となるかもしれないが、郊外や地方在住者は、自分の銀行の支店なりATMがある場所まで距離がある人が多いはず。

 4月2日に発表されたOffice Withによるアンケート調査によると、過去1か月以内に81%の人がコンビニATMを利用したことがあるとの結果が出ている。その多くの人は当然ながら、手数料の存在は認識している。

 しかし、日本では便利さ、災害時のことなどを考慮して、どうしても現金至上主義のところがあり、銀行の支店が減少するなか、コンビニのATMに頼らざるを得ない側面もあろう。

 この対応策の一環として、各銀行はデビットカードを普及させようとしているが、なかなか普及が進まないのが現実である。デビットカードとは、ショッピングや飲食時の支払などに利用できるカードで、クレジットカードとは異なり、口座から即時引き落としされる。現金を使わなくて済むものではあるが、災害時を考えると現金が優先されてしまう面もあるのかもしれない。

 いずれにしても、日本でもキャッシュレス化は進んでいるものの、一定の現金需要はどうしても残り、銀行の支店などに行くのではなく、近くのコンビニATMの利用が多くなってしまう。在宅勤務が拡がれば、コンビニATMの利用がさらに広がることも想定される。

 コンビニATMがある意味、金融のひとつのインフラともなっていることで、費用負担等はあるのかもしれないが、この手数料についてはできれば値上げは避けてほしいと思う。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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