16日の原油先物は上昇し、WTI先物3月限は58セント高の60.05ドルとなり、60ドルを超えてきた。

 WTI先物は昨年4月にマイナスとなるなど異常な動きをみせた。マイナスとなったのは先物特有の現象ではあったものの、コロナ禍による原油需要の後退が原油価格下落の主因であった。

 しかし、その後のWTIは回復基調となり、40ドル近辺で安定するかにみえた。ところが、ここにきてさらに上昇してきて、60ドルの大台も突破してきたのである。WTI先物のチャートをみると、次の節目は80ドルあたりとなる。すでに80ドル、100ドルまで上昇かとの米系金融機関などの予想も出ているようだが、その勢いはある。

 新型コロナウイルスの感染拡大がワクチン接種をきっかけに急速にブレーキが掛かる可能性は高い。いずれにしてもいつかパンデミックは収束する。そのタイミングがいつになるのかとなるだけである。

 すでに中国や米国の景気は回復しつつあり、それが米国株式市場の主要指数の過去最高値更新などにも現れている。経済の正常化が意識されれば、昨年4月に起きた原油先物の急落の反対のような動きが生じたとしてもおかしくはない。

 すでに投機的な動きはビットコインだけでなく、銀や銅にも入っている。原油先物もそれほど大きなマーケットではないことで、需要によって素直に動くのではなく、仕掛け的な動きが入る可能性は十分にありえる。

 石油輸出国機構(OPEC)加盟国とロシアなどの非加盟国で構成する「OPECプラス」が、原油価格の回復を受けて4月から減産幅を縮小させる公算であることが複数の関係筋の話で分かったと報じられた。

 これは当然の動きであり、これによってWTI先物も多少、調整が入る可能性はあるが、トレンドには変化はないと思われる。

 原油価格の動きは日本などでは物価に直結する。日本の消費者物価指数(除く生鮮、コアCPI)が最後に2%を超えたのは2008年9月であり、このときのコアCPIは前年同月比プラス2.3%、そしてWTIは100ドルを超えていた。

 2008年9月といえばリーマン・ショックが起きた月でもあったが、中国などの新興国経済の拡大を材料に、このときも仕掛け的な買いが原油先物に入っていたのである。その後、WTIは急落し物価も下落した。

 今回も同様の事態になる可能性もある。これでやっと日銀にとって念願の物価目標が一時的に達成するかもしれない。しかし、これによって日銀が出口に向かうかといえば慎重姿勢を示すことが予想される。一時的と考えれば当然ではあるが。

 しかし、1990年台のバブル崩壊時のように1980年台の日銀の長すぎた緩和策がバブルを引き起こしたのではとの批判も出ていた。今回はいろいろとバブルが起きつつあるように思われる。それにブレーキが掛けられる体制作りが必要なのではないか。そのための日銀の3月の点検でもあってほしいのだが。