マイナス金利政策には問題が多いとの指摘
イングランド銀行のベイリー総裁は12日、マイナス金利には問題が多いとの認識を示し、マイナス金利は英国の景気後退に対処する最善の方法ではないと指摘した。
すでに欧州中央銀行や日本銀行などでは、マイナス金利政策を実施している。中央銀行の政策金利が実質ゼロ、つまりゼロ金利政策を取った場合に、次の手段として挙げられるのが、資産買入などの量を主体にするか、それともマイナス金利政策か、はたまた両者かということになる。
2014年のECB理事会で利下げを行った際に、下限金利はマイナスとなった。日銀は2016年1月にマイナス金利付き量的・質的緩和の導入を決定した。それから時間も過ぎて、あらためてイングランド銀行でもそれぞれの効果と副作用の検証を行ったとみられる。
その上で出した結論がマイナス金利政策については、問題が多く、景気後退に対処する最善の方法ではないという結論に達したとみられる。これはFRBも同様で、パウエル議長は「それは有用でも適切でもない」とマイナス金利政策について評していた。
日銀の2016年1月に導入したマイナス金利政策に対して、その副作用が意識され、金融業界は反対の声を挙げた。その結果、この年の9月にマイナス金利政策は長短金利操作というかたちに修正されることになった。
ECBについてもこれ以上のマイナス金利の深掘りは避けたいようだが、いまのところマイナス金利政策そのものを修正するような動きは出ていない。
しかし、結論からすればFRBやイングランド銀行のトップが指摘したように、マイナス金利政策は有用でも適切でもないという評価となっているのではなかろうか。
いま、日銀がマイナス金利政策を止めると、それは金融引き締めに映ってしまうため、止めるに止められないことも確かである。これ以上のマイナス金利の深掘りは避けながら、国債のイールドカーブを多少なりスティープ化させて、その副作用をなるべく抑えようとするほかないのかもしれない。