Yahoo!ニュース

日銀短観、大企業製造業DIは二期連続の改善

久保田博幸金融アナリスト
(写真:アフロ)

 日銀が14日に発表した12月の全国企業短期経済観測調査(短観)で、最も注目される大企業製造業の業況判断指数(DI)はマイナス10と前回の9月調査から17ポイントの上昇となった。

 前々回の6月調査では、大企業製造業DIはマイナス34と、リーマン危機後の2009年6月調査以来11年ぶりの低水準になっていた。悪化幅はリーマンショック翌年の3月に次ぐ過去2番目の大きな落ち込みとなった。新型コロナウイルス感染拡大とそれを防止するための緊急事態宣言などによる人や物の移動の制限による影響は反映されていた。

 そして、前回の9月調査では、大企業製造業DIはマイナス27と7ポイントの改善となっていた。改善は2017年12月以来2年9カ月ぶり。前回、6月の短観ではマイナス34となっていたことの反動もあり、やや回復した格好に。先行きについてはマイナス17となり、さらなる改善を見込んでいた。

 そして12月の大企業製造業DIはマイナス10と二期連続の改善となり、前回の9月調査の予測よりも改善した。事前予測の数値(マイナス14あたり)も上回った格好に。

 大企業製造業DIでは業種別でみて自動車の改善幅が最も大きくなっていた。木材・木製品や鉄鋼の改善も大きくなった。しかし、16業種のうち唯一、造船・重機等はさらに悪化していた。

 大企業非製造業のDIも前回に比べて改善となった。対個人サービスや運輸・郵便などが改善を示していたが、建設はさらに悪化していた。中堅企業や中小企業もほぼ同様の数値となっており、全体としても改善を示していた。

 しかし、ここにきて再び世界的に新型コロナウイルスの感染が拡大しつつあり、ドイツなどは今月16日から来月10日までほとんどの小売店の営業を禁止し、学校も閉鎖すると発表した。日本でも感染拡大に歯止めがかからなければ、再び経済活動にブレーキを掛けざるを得なくなる可能性もある。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

牛さん熊さんの本日の債券

税込1,100円/月初月無料投稿頻度:月20回程度(不定期)

「牛さん熊さんの本日の債券」では毎営業日の朝と引け後に、当日の債券市場を中心とした金融市場の動きを牛さんと熊さんの会話形式にてお伝えします。昼には金融に絡んだコラムも配信します。国債を中心とした債券のこと、日銀の動きなど、市場関係者のみならず、個人投資家の方、金融に関心ある一般の方からも、さらっと読めてしっかりわかるとの評判をいただいております。

※すでに購入済みの方はログインしてください。

※ご購入や初月無料の適用には条件がございます。購入についての注意事項を必ずお読みいただき、同意の上ご購入ください。欧州経済領域(EEA)およびイギリスから購入や閲覧ができませんのでご注意ください。

久保田博幸の最近の記事