スウェーデンの中央銀行であるリクスバンクは26日、政策金利のレポ金利を市場の予想通りゼロで据え置いた。そして、今後数年間はゼロにとどまるとの見通しも示した。また、資産買い入れプログラムの規模を2000億クローナ拡大し、期間も延長すると発表した。スウェーデンでは新型コロナウイルスの感染が拡大しており、スウェーデン政府は今後数か月の経済が当初の想定より厳しくなるとの見通しを示している。
欧州各国が相次い厳格な都市封鎖を行っていた際も、スウェーデンは、厳しい行動規制を課さない独自路線を取っていた。これはスウェーデン方式とも呼ばれ注目されていた。
しかし、スウェーデン政府は16日に新型コロナウイルス感染の急拡大を受け、9人以上の公共の集会を24日から禁止すると発表した。厳しい行動規制を課さない独自路線から規制強化へ舵を切ったかたちとなり、これによる経済活動への影響も踏まえ、予想を超える緩和策をリクスバンクも取らざるを得なかったものとみられる。
ECBが26日に公表した10月の理事会の議事要旨では、新型コロナウイルス感染の第二波が到来する中、油断している余裕はないとの見方で一致し、景気の下支えに向け追加刺激策の確約を決定したことがわかった。
12月のECB理事会では追加緩和が決定されるであろうとの観測が出ていたが、この観測を裏付けるものとなった。こちらもユーロ圏での新型コロナウイルスの感染拡大が影響していた。
ドイツ政府は、新型コロナウイルス第二波の感染状況が改善できていないとして、現在行っている制限措置を緩和せず、強化する方針を決めた。今月30日までとしていた接触制限や経済活動の規制をさらに強化して来月20日まで続けることを決めた。
新型コロナウイルスの感染拡大に、中央銀行の金融緩和によってブレーキが掛かるわけではない。中央銀行の金融緩和は決して万能薬ではない。それでも景気悪化に対して、何らかの対応をしなければならないとするリクスバンクやECBの動きかと思われる。