現金を扱わない銀行の支店が増加
三井住友銀行は全体の7割以上にあたる国内300店舗の窓口で、2022年度までに現金の受け渡しを取りやめる方針と25日の日経新聞が報じた。
26日には、あおぞら銀行が窓口で現金を扱わない「キャッシュレス店舗」を全ての店舗に広げると日経新聞が報じていた。
三井住友銀行では、現金のやりとりは原則、高機能ATMで代替し、人員は資産運用の相談にシフトするそうである。高機能ATMとは税公金の支払いなどにも対応したもの。ただし、税公金の支払いなどはコンビニの窓口などでも行える。
あおぞら銀行では、現金の受け渡しを希望する顧客には、店舗内にあるゆうちょ銀行のATMの利用を促すそうである。
すでにネットバンキングの普及やATMの利用などによって、銀行窓口での現金の出し入れというのは減少しつつある。私自身も銀行の窓口にはずいぶんと行っていない。ネットバンキングとコンビニのATMなどによって事足りてしまう。
このため、一部の顧客のために人員を置くよりも、現金についてはATMなどの利用を進めることで、窓口業務を減らすという動きは今後も拡がって行くと思われる。
ただし、オレオレ詐欺対策で、一定額以上と現金の引き出しや振り込みはATMでは制限があり、それについても対策は講じられるようである。
三井住友銀行もあおぞら銀行も、行員は資産運用の相談などコンサルティング業務に重点を移すそうである。そうなると証券会社の窓口のようになるのか。もちろん投資信託などはさておき、個別株については銀行窓口では取り扱わないと思われるが。
日本ではキャッシュレス化が遅れていると経済産業省などは指摘するが、この銀行の動きなどをみてもキャッシュレス化はそれほど遅れているようには思えない。
キャッシュレス化の進展によって、銀行で取り扱う現金そのものも今後はますます減少していくことが予想される。現金の需要が後退することによって、それを補う格好での中銀デジタル通貨(CBDC)の発行の可能性も確かに出てくるかもしれない。それもあってか日銀は発行する予定はないとしているが、CBDCの研究は進めようとしている。
しかし、CBDCの発行には特に安全性を中心に課題もある。いつでもどこでも使えるのがキャッシュの良さであり、それをしっかりと代替できるのか。これについては、中国が先んじて実証実験を行っていることもあり、その結果も確認したいところである。