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金融機関における在宅勤務の今後

久保田博幸金融アナリスト
(写真:アフロ)

 「金融機関における在宅勤務の拡がりとシステム・セキュリティ面の課題」というレポートが日銀のサイトにアップされたが、今回は金融機関における在宅勤務の今後について考えてみたい。

「金融機関における在宅勤務の拡がりとシステム・セキュリティ面の課題」日本銀行

 国内での新型コロナウイルスの感染拡大を受け、感染拡大を防止する観点から人の移動の制限の一環として、政府よりテレワーク等の推進が呼びかけられ、これに伴い在宅勤務の利用が急速に拡がった。これは金融機関にとっても同様であった。

 インターネットやパソコンの普及によって、現場に赴く必要がない仕事に関しては、自宅で仕事が可能な環境は整いつつあった。私自身も10年前から自宅にてパソコンとインターネットを使って仕事をしていた。

 しかし、私のようなフリーランスはさておき、会社などに勤めている人にとっては仕事は会社で行うものという概念が蔓延していたというか、それが普通になっていた。しかし、その概念を新型コロナウイルスが大きく変えてきた。

 突然、在宅でテレワークを行うというのもなかなか無理があったと思う。インターネットの回線、無線LAN、パソコン、さらに家のなかで仕事を行う場所の確保が必要になる。このあたりの環境が整えられたとしても、金融機関に限らずセキュリティの問題などもあったはずである。

 しかし、そのような環境が次第に整えられたようで、日銀が行った金融機関に対するアンケートでも、金融機関においても在宅勤務の導入が大きく進展したことが確認されたそうである。

 在宅勤務の推進によって、自宅で仕事をすることによる良い点、悪い点を社員や会社が認識しつつある。仕事の効率がどちらが上がるかという議論にあまり意味はない。まさに働き方改革として、仕事の場所の選択肢が増えたとともに、通勤というある意味、無駄な時間を有効活用することも可能となる。ちなみに10年間テレワークを行った結果、太ってしまったのだが、通勤はそれなりに良い運動であったという利点もあることを付け加えたい。

 それはさておき、金融機関でも自宅で仕事が可能となるとともに、ネット取引の拡大などにより、支店営業の在り方なども今後大きく変わってくる可能性がある。これは新型コロナウイルスの感染拡大が収まったとしても、この流れを変えることは出来ないと思う。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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