先進国の政府債務のGDP比は過去最大に
国際通貨基金(IMF)は14日公表した報告書で、2020年の世界全体の政府債務が、世界の国内総生産(GDP、約90兆ドル)にほぼ匹敵する規模になると予測した。GDP比で過去最大の98.7%となる(15日付日経新聞)。
すでに日本でも過去最大規模となる第二次補正予算を含め、今年度の歳出額は160兆円規模となり、過去最大となっている。2020年度の当初の新規国債の発行額は約33兆円であった。しかし、第一次と第二次補正予算の編成による増発を受けて、新規財源債は90兆円に及ぶ。つまり約3倍近くに膨れ上がった。借換債などを含めた国債発行総額も当初の153兆円程度から第二次補正後は253兆円と100兆円もの増額となっている。
日経新聞によると、IMFは2021年の先進国の政府債務はGDP比125%と予測しており、1880年代からの長期データでみると、第2次世界大戦直後の1946年(124%)を超えて過去最大となる。33年の大恐慌時(80%)や、2009年の金融危機直後(89%)を大きく上回る。
しかしこれで収まるわけではない。欧米では新型コロナウイルスの感染が再拡大している。米国では大統領選挙を控えて、共和党と民主党はそれぞれ追加経済対策を打出しているが、大統領選挙までまとまる気配はない。しかし、大統領選挙が終われば、誰が大統領になろうとも大規模な経済対策が打ち出されるとみられる。むろんこの財源は国債発行によって賄われるであろう。
日本国内でも自民党が40兆円規模の第三次補正予算を要求かとも報じられているが、そうなると2020年度の歳出規模は200兆円あまりとなる。この「第三次」を入力した際に「大惨事」と変換されたのだが、このようなペースで債務を増加させるといずれ「大惨事」を招きかねない。
巨額債務を帳消しにするには急激なインフレや預金封鎖、新円切り換えなど結果として国民負担となる。日銀保有の国債は帳消しにするとなれば、その裏付け債務となる我々の預貯金や金融機関が日銀に預ける当座預金残高を帳消しにすることになる。つまりは、昔の国王などが行った債務の取り消しと同様の手段となる。
補正予算の財源となる建設国債や赤字国債は将来の税収を担保に発行されるものである。もし第三次補正予算によって、今回も個人に5万円だか10万円とか支給されるとなった場合、その資金は自然に湧き出たものではなく、将来世代が負う債務となる。そう考えれば、無駄なバラマキはこのようなコロナ危機の状況であるならに特に避けねばならない。