東京大学は16日に国立大学として初めて200億円の大学債を発行すると発表した(9日付日経新聞)。

 今年6月に国立大学法人施行令の一部改正が閣議決定され、債券発行で調達した資金を教育研究などの活動に充てられるようになった。

 東京大学は財務基盤が強固であり、すでに格付投資情報センター(R&I)から「ダブルAプラス」の格付けを取得。さらにJCRから最上級の「トリプルA」の信用格付けを取得している。

 今回、東京大学が発行する200億円の大学債は、ソーシャルボンドとして発行する。ソーシャルボンドとは、「社会貢献債」とも呼ばれ、社会的課題の解決に資するプロジェクトの資金調達のために発行される債券である。

 今回の投資資金は、最先端大型研究施設の整備やウィズコロナ、ポストコロナ社会における知の価値化・共有化に適したキャンパス整備促進などのFSI(未来社会協創)事業に充てられるとされる。

 日経新聞によると、今回の東大債には政府保証はなく、年限は40年。利回りは年0.823%となり、国債に対する上乗せ金利(スプレッド)は0.18%と、直近の独立行政法人が発行する財投機関債と同水準となる。主幹事の大和証券によると、投資家からの需要は発行額の6倍強の1260億円に達した。ソーシャルボンドとして、日本格付研究所(JCR)から最上位評価である「ソーシャル1」を取得したとか。

 今回の国立大学として初めての大学債の購入希望額は発行予定額の6倍超にものぼるという。この人気の理由としては、まず「顔が良い」ということがあげられる。「顔が良い」というのは認知度・人気度が高いということを示す業界用語である。また、信用度という意味では、所得した格付けが高いことも人気の理由となる。

 さらにいま流行というか、投資家は環境を意識した投資に重点を置くようになっており、ソーシャルボンドとして発行されるのも好材料。

 期間は40年と長いのに対し、利回りは0.823%というのはやや低いと思われるかもしれないが、同年限の国債の利回りは0.18%ほど上回っており、長期の運用を行っている生保などのニーズはこの利回りでも強いものがある。

 ただし、今回は生保のほか、NECやダイキン工業、住友林業や日本ペイントホールディングス、日本女子大学や吉本興業ホールディングスなど幅広い投資家が購入を希望したとも報じられている。

 はじめての東大債ということもあるが、ソーシャルボンドとしてのニーズは予想以上に高いようである。

 念の為、これは個人向けではない。個人は40年もの長い期間の債券はあまり購入しない。しかし、個人のニーズが強い2年、5年あたりの国債利回りはマイナスとなっており、格付けの高い一般債でも利回りは求められず、個人に向けた中期の東大債の発行は難しいと思われる。