日銀短観での景況感はやや改善も厳しい状況は続く

(写真:つのだよしお/アフロ)

 日銀は1日、9月の企業短期経済観測調査(短観)を発表した。日銀短観とは、日銀が年に4回、業況感に関しての調査表を直接企業の経営者に送り、それを記入してもらい、回収して経済観測をまとめたものとなる。短観は、サンプル数も多い上、日銀が相手ということもあって回収率も高く、数多くある経済指標の中でも注目されている。短観は他の経済指標に比べて、速報性に優れ、企業が認識している足元の業況判断とともに先行きの業況についてどのような予測をしているのかを見るためにもたいへん貴重な指標となる。

 9月の日銀短観では、大企業製造業の景況感を示す業況判断指数(DI)がマイナス27となった。改善は2017年12月以来2年9カ月ぶりとなる。前回、6月の短観ではマイナス34と、リーマン危機後の2009年6月調査以来11年ぶりの低水準になっていたことで、その反動もあり、ここからはやや回復した格好に。先行きについてはマイナス17となり、さらなる改善を見込んでいる。

 6月の短観には新型コロナウイルス感染拡大とそれを防止するための緊急事態宣言などによる人や物の移動の制限による影響が反映されていた。日本経済にとっては、新型コロナウイルス感染拡大が当然ながら急ブレーキとなっていたことが、6月の短観の数字から読み取れた。

 それが9月はどうなったか。今回の調査は8月27日から9月30日にかけて実施された。緊急事態宣言は解除されたが、新型コロナウイルスの感染拡大は止まらず。しかし、政府は少しでも経済を回復させようとしているが、思うように景況感は回復してはいないことが示された格好に。

 大企業製造業の業種別で特に大きく悪化していたのが自動車であった。6月の短観ではマイナス72、今回はマイナス61となっており、改善はしつつも業況感はかなり悪化した状態にある。

 大企業非製造業DIはマイナス12と前回のマイナス17からは、こちらも小幅改善となっていた。改善は1年3カ月ぶり。対個人サービスはマイナス65と前回のマイナス70からは改善、宿泊・飲食サービスもマイナス87と前回のマイナス91からは改善してはいるものの、マイナス幅は依然として大きい。

 中堅企業、中小企業は今回も大企業に比べて悪化していた。

 ある意味強制的に物や人の移動を制限したことで、各所に大きな影響を与えていたのは事実であり、その制限が緩和されても景況感はそれほど大きくは改善されていないことが示された。

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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