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海外投資家による6月の米国債投資は久しぶりの買い越しに

久保田博幸金融アナリスト
(写真:アフロ)

 米財務省が8月17日に発表した6月の国際資本収支統計における米国債国別保有残高(MAJOR FOREIGN HOLDERS OF TREASURY SECURITIES)によると、日本は引き続きトップを維持していた。

MAJOR FOREIGN HOLDERS OF TREASURY SECURITIES https://ticdata.treasury.gov/Publish/mfh.txt

 6月に入ると米10年債利回りは一時上昇基調を強めた。業績回復への期待に加え、国債増発による需給悪化懸念などから米国債は売られた。5日に発表された米5月の雇用統計、では非農業雇用者数は前月比250万人の増加となった。予想は750万人程度の減少だったことで、これはサプライズとなり、米10年債利回りは0.95%まで上昇した。

 しかし、ここから今度は米10年債利回りは低下基調となった。10日のFOMCではFRBが長期にわたって、金融緩和政策を続ける方針を示したことから、10年債利回りは0.73%に低下、さらに12日には10年債利回りは0.67%に低下した。しかし、このあとは0.7%近辺での動きが続いた。

 6月の海外投資家による米国債投資は4か月ぶりに買い越しに転じていた。米国の雇用の回復などをみて、リスク回避の巻き戻しで、米国債が売られた。しかし、そのタイミングで押し目買いが入り、結果として買い越しに転じたものとみられる。

 あらためて国別の米国債保有残高を確認すると、6月の日本の米国債保有額は1兆2613億ドルとなり、前月比で9億ドルの増加、引き続きトップは維持した。これに対して、2位の中国は1兆744億ドルとなり、前月比で93億ドルの減少となった。上位10か国の米国債保有額は下記の通り。

国、米国債保有額、前月比(単位、10億ドル)

日本(Japan) 1261.3 +0.9

中国(China, Mainland) 1074.7-9.3

英国(United Kingdom) 445.6-0.2

アイルランド(Ireland) 330.4 +6.2

ルクセンブルク(Luxembourg) 267.6 +4.9

香港(Hong Kong) 266.4-2.6

ブラジル(Brazil) 264.1-0.3

スイス(Switzerland) 247.4 +4.3

ケイマン諸島(Cayman Islands) 222.0 +5.3

ベルギー(Belgium) 218.7 +6.6

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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