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日銀のさくらレポートでは、日本の9つの地域全部で景気判断が引き下げられた

久保田博幸金融アナリスト
(写真:つのだよしお/アフロ)

 日銀は9日に地域経済報告(さくらレポート)を公表した。同レポートは、日銀の支店長会議に向けて収集された情報を基に、支店などの地域経済担当部署からの報告を集約したもの。表紙が桜色となっていることから、さくらレポートとも呼ばれる。

 全国を9つの地域に分けて景気の現状をまとめたものであるが、前回の4月のレポートに続いて、すべての地域の景気判断を引き下げた。4月にすべての地域の景気判断を引き下げたが、これは実におよそ11年ぶりとなっていた。

 各地域の景気判断の概要をみてみると、

 北海道は新型コロナウイルス感染症の拡大の影響により、前回の「下押し圧力の強い状態にある」から今回は「大幅に悪化している」に。

 東北は「このところ弱い動き」が「悪化している」に。

 北陸は「弱めの動き」が「大幅に悪化している」に。

 関東甲信越は「このところ弱い動きとなっている」が、「きわめて厳しい状態にあ

る」に。

 東海は前回の「下押し圧力の強い状態にある」に対して「改善に向けた動きがみられ始めているが、厳しい状態にある」となっていた。

 近畿は「弱い動き」から「悪化した状態」に。

 中国は、「このところ弱い動きとなっている」から「大幅に悪化したあと、厳しい状態が続いている」に。

 四国は「このところ弱めの動き」が「一段と弱い動き」に。

 九州・沖縄は「このところ弱い動き」が「悪化している」となっていた。

 各地域の需要項目等別の判断の個人消費をみてみると、北海道や東北、関東甲信越が大幅に落ち込み、厳しい状況にあるなどとしていたが、北陸や東海、近畿、中国、四国では「下げ止まり」、「持ち直し」との表現が入っており、このあたりで地域差が出ている。

 東京や北海道、大阪など感染者数が引き続き多いところは、なかなか回復の兆しは見えてこないものの、個人消費の動向をみると、比較的感染者の少ない地域では徐々に回復の兆しが見えてきているようである。

 ただし、「生産」の項目をみると、ほとんどが減少、弱い動きとなっている。このなかにあって、東海は「弱い動きが続く中、持ち直しに向けた動きもみられている」とある。トヨタなどの生産が徐々に回復しつつあるということであろうか。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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