6月日銀短観での景況感は自動車などを中心にリーマン危機以来の悪化に、大企業は先行きの小幅改善を見込む

(写真:つのだよしお/アフロ)

 日銀は1日、6月の企業短期経済観測調査(短観)を発表した。日銀短観とは、日銀が年に4回、業況感に関しての調査表を直接企業の経営者に送り、それを記入してもらい、回収して経済観測をまとめたものとなる。短観は、サンプル数も多い上、日銀が相手ということもあって回収率も高く、数多くある経済指標の中でも注目されている。短観は他の経済指標に比べて、速報性に優れ、企業が認識している足元の業況判断とともに先行きの業況についてどのような予測をしているのかを見るためにもたいへん貴重な指標となる。

 6月の日銀短観では、大企業製造業の景況感を示す業況判断指数(DI)がマイナス34と、リーマン危機後の2009年6月調査以来11年ぶりの低水準になった。悪化幅はリーマン危機翌年の3月に次ぐ過去2番目の大きな落ち込みともなった。

 今回の調査は5月下旬から先月末にかけて行われた。前回の4月に発表された短観は調査期間は2月25日~3月31日となっていたが、調査は3月上旬までに7割の企業が回答を済ませていたとされ、新型コロナウイルス感染拡大の影響はそれほど数字に反映されていなかったとみられる。

 それに対して今回は新型コロナウイルス感染拡大とそれを防止するための緊急事態宣言などによる人や物の移動の制限による影響は反映されていた。日本経済にとっては、新型コロナウイルス感染拡大が当然ながら急ブレーキとなっていたことが、今回の短観の数字からも読み取れる。

 6月の大企業製造業DIはマイナス34と前回のマイナス8から大きく悪化した、先行きについてはマイナス27となり、やや改善を見込んでいる。

 大企業製造業の業種別で特に大きく悪化していたのが自動車であり、前回から55ポイントもの落ち込みとなった。

 大企業非製造業DIもマイナス17と前回のプラス8から大きく悪化した。こちらは対個人サービス(遊園地や劇場などを含む)が64ポイント下落し、宿泊・飲食サービスも32ポイント下落していた。人の移動が制限された影響が当然ながら出ていた。また、不動産も44ポイントの下落となっていた。

 中堅企業、中小企業は大企業以上の悪化を示している。注意すべきは大企業は製造業も非製造業も、先行きは若干ながらの改善を見込んでいるものの、中堅企業、中小企業は先行きもさらなる悪化を見込んでいる点となろう。

 ある意味強制的に物や人の移動を制限したことで、各所に大きな影響を与えているのは事実であり、それが今回の短観で数字で示された。今後は特に中堅企業、中小企業への影響を第二次補正予算や日銀による新型コロナ対応金融支援特別オペなどを通じて、どれだけ緩和できるのかにかかっているのではなかろうか。

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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