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3月末の日本国債の保有者

久保田博幸金融アナリスト
(写真:つのだよしお/アフロ)

 日銀は6月25日に資金循環統計(2020年1~3月期速報値)を発表した。これによると個人の金融資産は3月末時点で約1845兆円となり、12月末の約1907兆円から減少した。個人の金融資産の内訳は、現金・預金が前年比で2.1%増の約1000兆円となっていた。株式等が同11.9%減の約178兆円、投資信託は同11.7%減の約63兆円となっていた。

 この資金循環統計を基に国債(短期債除く)の保有者別の内訳を算出してみた。

 残高トップの日銀の国債保有残高は486兆9928億円、47.2%のシェアとなった。前期比(速報値)からは1兆8040億円の増加となる。

 残高2位の保険・年金基金は250兆3574億円(24.2%)、3423億円減。

 残高3位は預金取扱機関(都銀や地銀など)で130兆9814億円(12.7%)、2兆7226億円減。

 残高4位が海外投資家で79兆1502億円(7.7%)、5788億円増。

 残高5位が公的年金の40兆7405億円(3.9%)、2兆2368億円減。

 残高6位が家計の13兆8526億円(1.3%)、3273億円増。

 その他が30兆5511億円(3.0%)、2兆1641億円減となっていた。

 2019年12月末に比べ国債(短期債除く)の残高は4兆7557億円減の1032兆6260億円となった。(こちらの国債残高は時価ベース)。

 12月末に比べて預金取扱機関や公的年金が大きく残高を減少させ、保険・年金も減少していた。増加したのは日銀や海外。3月に新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を受けて、キャッシュ化が意識されて、日本国債も大きく売られるなど波乱含みの様相となっていた。

 短期債を含めた国債全体の数字でみると残高は約1131兆円となり、日銀が約499兆円で44.2%のシェアに。海外勢の残高は約146兆円と短期債を含めると国債全体の12.9%のシェアとなっていた。

 3月に乱高下したあとの国債市場は次第に落ち着きを取り戻しているが、日銀は国債の80兆円という枠を撤廃するなどしており、日銀の保有額の動向にも注意したい。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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