東京大学が資金調達のために初めて債券(大学債)を発行
東京大学が大学債を初めて発行すると19日付の日経新聞が報じた。関連法令の改正で国立大学の債券の発行条件が緩和されたことを生かし、今後10年で計1000億円超の調達を目指すという。
これについて文部科学省のサイトで確認すると、国立大学法人が行うことができる長期借入金の借入れ及び債券の発行については従来、国立大学法人法施行令(平成15年政令第478号)第8条において、附属病院整備事業及び大学等移転事業がその対象とされていた。
しかしながら、国立大学法人の自主的な教育研究環境の整備充実の取組みを支援するため、平成17年12月に、長期借入金等の対象について、土地の取得、施設の設置若しくは整備又は設備の設置(以下「土地の取得等」という。)を追加する改正が行われた。
さらに政府は今月19日に日閣議決定した改正案では、基礎研究のための大型実験施設など、収入が見込みにくい施設整備のために大学債が発行できるようになった。償還には寄付金や運用益など大学全体の収入を充てることができるようにする(19日付日経新聞)。
海外の事例では大学債が積極的に活用されており、英国のケンブリッジ大は2018年に約800億円の60年債を発行、英国のオックスフォード大も2017年に100年債を約1000億円発行している(19日付日経新聞)。
東京大学は今夏にも200億~300億円規模で発行する方針とか。国内機関投資家向けで、償還までの期間が30年超の超長期債となる見込みとか。東大はすでに格付投資情報センター(R&I)から「ダブルAプラス」の格付けを取得している。
利率などがどのような条件となるのかは、はっきりしないものの、現在の低金利の環境下、かなり低い利率での発行が予想される。それでも「東大」というネームバリューの大きさもあり、消化は順調となると見込まれる。
債券の発行市場の裾野がこのようなかたちで拡がるのは好感したい。今後、さらに他の国立大学でも債券発行が行われるのかも確認したいところである。