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緊急事態宣言の全面解除を受けての株高に、日経平均は21000円台を回復

久保田博幸金融アナリスト
(写真:GYRO PHOTOGRAPHY/アフロイメージマート)

 政府は25日、新型コロナウイルスに関する緊急事態宣言で、残る東京など5都道県を解除することを決定した。

 22日の欧米市場の動きをみてみると、香港の法制度に新たな国家安全法を導入する中国政府の計画は米中の緊張を高めるとして、米中関係のさらなる悪化が懸念された。このためダウ平均は下落した。ただし、ハイテク株が買われてナスダックは上昇していた。米債はリスク回避の動きもあって買われ、原油先物は反落となっていた。

 このようななかにあって、22日のナイトセッションで、日経225先物が230円の上昇となり高値で引けていたのである。ドル円の居所は特に変わらず。海外では特に買い材料はみられないなか、200円を超す上昇となっていた。その背景にあったのが、海外要因ではなく国内要因であったとみられる。つまり国内での緊急事態宣言が全面解除される可能性が好感されていた。

 25日の東京株式市場はナイトセッションの流れを引き継ぎ、日経平均は265円高でスタートした。これをみても22日のナイトセッションで何かしらの仕掛け的な動きが入っていたというより、好材料を素直に好感して買い進まれたといえる。

 そして26日の東京株式市場では、前日に正式に緊急事態宣言が全面解除されたことを好感し、日経平均は3月6日以来となる21000円台を回復した。

 株式市場は先を読んで動く。とはいえ、新型コロナウイルスの感染は完全に押さえ込まれたわけではない。二次感染の恐れも当然ある。また、経済活動が一気に回復するわけではない。緊急事態宣言が解除されても活動は少しずつ、気をつけながら再開していくことが予想される。

 景気の急激な落ち込みがこれで一気に回復するわけではなく、当面、景気の悪化は続き、経済指標の悪化も避けられない。それでも最悪の状況は過ぎ去りつつあるとの認識も強まろう。これも相場といわざるを得ない。

 まだ解除には早いとの見方も当然あると思う。経済活動再開と新型コロナウイルスの感染拡大防止という、ある意味相反する動きに対して、どのようにバランスをとれば良いのか。これは専門家に委ねざるを得ない面もあるが、我々自身も感染を防止しながら、経済活動をしていく方法をあらためて模索していく必要はあろう。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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