FRBのマイナス金利政策はありうるのか
以前にミネアポリス連銀総裁を務めたナラヤナ・コチャラコタ氏はブルームバーグのコラムにおいて、驚異的に高い失業率と急速なディスインフレの可能性は、マイナス金利を肯定する力強い論拠となっており、政策金利を少なくともマイナス0.25%に引き下げるべきだと主張した。
米短期金融市場では、フェデラルファンド(FF)金利先物がFRBによる12月のマイナス金利導入を小幅ながら織り込み始めた。
だからといって、FRBがマイナス政策を導入することは考えづらい。日本やECBといったマイナス金利政策を導入している国をみても、むしろその副作用のほうが懸念されている。パウエル議長らFRB当局者はこの状況を当然認識しているとみられ、マイナス金利導入には否定的とみられる。
日本の場合、国債買い入れの限界も意識されて導入されたと思われるマイナス金利政策であったが、金融業界に強い反発に合い、その結果として長短金利操作付きという政策がその後導入された。マイナス金利政策により、国債のイールドカーブを潰してしまうと金融機関には大きな打撃となることが明らかとなっている。
同じようなことをFRBが選択するとは現状は考えづらい。長期国債の利回りをマイナスにさせ政府の財政出動をやりやすくさせたいのであろうか。ただし、マイナス金利政策そのものよりも、量的緩和のさらなる拡大が今後も主眼となると思われ、それをトランプ大統領も好感するではなかろうか。ただし、こちらもやりすぎると後戻りが難しくなり、舵取りが難しいところ。