新型コロナウイルスの世界的拡大懸念による国内外への影響

(写真:ロイター/アフロ)

 24日から25日にかけて米国株式市場ではダウ平均がそれぞれ1031ドル61セント安、879ドル44セントとなり、2日連続して大きく下落した。この2日間の下げ幅は合計で1911ドル05セントとなり、連続する2営業日の下げ幅では2018年2月2日と5日の1840ドル96セントを抜いて過去最大となった(26日日経電子版の記事を参照)。

 ダウ平均は過去最高値水準にあることもあり、下げ幅がそれだけ大きくなったともいえることで、下げ幅よりも下げ率をみるべきとの見方もある。しかし、それでも大きな下落であったことにかわりはない。

 25日の米10年債利回りは一時1.30%近辺に低下し、2016年7月6日以来となる過去最低を更新した。そして、25日の原油先物市場ではWTI先物4月限は1.53ドル安の49.90ドルとなり、50ドルを割り込んできた。ドル円は一時、110円を割り込んできた。

 米国の疾病対策センター(CDC)が国民に対し、米国内での新型コロナウイルス流行に備えるよう注意喚起した。新型コロナウイルスの感染が中国以外にも拡大し、米国での感染拡大への懸念からのリスク回避の動き、さらには世界経済への悪影響も意識された動きとなる。

 欧米の株価指数は過去最高値を更新するなどしており、これは経済実態とは乖離した動きのようにみえた。今回の新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を受けたリスク回避の動きをきっかけに、その乖離した部分の修正に入る可能性がある。

 米国で株安が続くとなれば、米国の大統領選挙にも影響を与える可能性がある。このためトランプ大統領はFRBに対しこれまで以上のプレッシャーを与える可能性がある。市場でもFRBの利下げは織り込みつつあるが、利下げをすれば新型コロナウイルスの感染拡大が止まるわけではない。市場の動揺を抑え込もうとしても、不安心理が高まっている間では、中央銀行の追加緩和でも簡単には収まらない。これは過去のショック時も参考になろう。

 実体経済への影響も本格化するのはこれからとなる。新型コロナウイルスの感染拡大が抑え込まれなければ、インバウンド需要の後退による影響だけでなく、一時的にしろ個人消費そのものにも影響が出てくる。サプライチェーンリスクなども絡んで企業も設備投資を抑制するような動きが出る可能性がある。

 そして、7月の東京オリンピック・パラリンピックも控えている。国際オリンピック委員会(IOC)のディック・パウンド委員は、東京オリンピックを開催するかどうかの判断の期限は5月下旬になるとの見方を示した。

 5月下旬までに国内の感染拡大を抑え込まなければ、1940年に開催が予定された東京オリンピックのように開催が延期もしくは中止される事態すらありうる。もしそのような事態が発生すると国内への影響は大きなものになりかねない。これはあくまでリスクシナリオではあるが。

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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