Yahoo!ニュース

あのギリシャの国債の利回りが1%割れとなり、過去最低を更新

久保田博幸金融アナリスト
(写真:アフロ)

 12日にギリシャの10年国債利回りが0.97%に低下し、初めて1%を割り込んできた。2012年のギリシャ・ショックの際に、ギリシャの10年国債の利回りは約42%に上昇していた。42%であったものが、ここにきて1%を割り込んできたのである。

 先月の24日に格付け会社のフィッチ・レーティングスは、ギリシャの格付けを「BBマイナス」から「BB」に引き上げた。経済成長と分別のある財政運営のおかげで同国の債務は持続可能な水準にとどまっているとの見方を表明。ギリシャのスタイクラウス財務相は、同国の格付け引き上げを受けて、起債に向けて動いていると明らかにした。(1月28日付けロイター)。

 一時はユーロ圏からの離脱まで意識されたギリシャであったが、財政面ではしっかり立ち直りつつある。イタリアの10年債利回りも足元は0.9%台にあり、ほとんど同じ水準となってきている。

 ギリシャの10年債利回りの推移をみると、ほぼ右肩下がりの状態が続いていた。ここにきては新型コロナウイルスの拡大によるリスク回避の動きもあり、安全資産として国債が買われやすくなっていた。それに加え、すでにマイナス利回りとなってしまっている同じユーロ圏のドイツやフランスなど中核国の金利と比較して、利回りが高いことで買われやすい面もあった。

 ギリシャ・ショック当時はあのギリシャがここまで立ち直ると予想した向きは少なかったのではなかろうか。むろん、リスクオフの動きで結果として買われてしまっているという側面があり、ECBの積極的な金融緩和策が影響していることも確かではある。それでも、すでにギリシャ危機は過去のものとの認識も強まりそうである。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

牛さん熊さんの本日の債券

税込1,100円/月初月無料投稿頻度:月20回程度(不定期)

「牛さん熊さんの本日の債券」では毎営業日の朝と引け後に、当日の債券市場を中心とした金融市場の動きを牛さんと熊さんの会話形式にてお伝えします。昼には金融に絡んだコラムも配信します。国債を中心とした債券のこと、日銀の動きなど、市場関係者のみならず、個人投資家の方、金融に関心ある一般の方からも、さらっと読めてしっかりわかるとの評判をいただいております。

※すでに購入済みの方はログインしてください。

※ご購入や初月無料の適用には条件がございます。購入についての注意事項を必ずお読みいただき、同意の上ご購入ください。欧州経済領域(EEA)およびイギリスから購入や閲覧ができませんのでご注意ください。

久保田博幸の最近の記事