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トランプ氏、FRB議長とマイナス金利も協議?

久保田博幸金融アナリスト
(写真:ロイター/アフロ)

 米国のトランプ大統領と米国の中央銀行にあたるFRBのパウエル議長が18日午前にホワイトハウスで会談した。会談はパウエル議長就任以降、今年2月に続き2回目。会談にはムニューシン財務長官も出席したそうである。

 日本でも安倍首相と黒田総裁が会談をすることがある。今年は2月と9月に首相官邸で行われていた。9月の会談後、黒田総裁は記者団の質問に答えるかたちで「私の方から従来申し上げていることを繰り返し、特別総理から話はなかった」とし、マイナス金利の深掘りの報道についても「そういうことは何も話していない」と語っていた。

 今回のトランプ大統領とパウエル議長の会談では、トランプ氏は「金利やマイナス金利、低水準のインフレ、金融緩和、ドル高と製造業への影響、中国や欧州連合(EU)との貿易などすべての問題について協議した」と述べたそうである。

 これに対して、パウエル議長は会談で「金融政策の先行きについては協議せず、政策の道筋はもっぱら今後入手される経済見通しに関する情報に基づくと強調した」という。さらに、トランプ大統領に示した見解は先週行った議会証言と「一致する」内容になったとも(ロイター)。

 どのような会話がなされたのかは当事者でなければわからないが、両者ともに一方的に話しをして、相手の話を一応頷きながら聞いていたのではなかろうか。さすがにFRB批判を繰り返しているトランプ大統領もあからさまに本人の前での批判は避けたのではなかろうか。トランプ氏がマイナス金利政策も通貨安のために必要だという話をしても、パウエル議長は大人の判断から無碍な否定をせず聞いていたという構図ではなかろうか。

 二人が会ったからといって関係性が変わるとは思えない。トランプ大統領は今後さらにFRB批判を強めることが予想され、パウエル議長はよほどのことがなければ利下げはいったん停止してくると予想される。

 今回のこの二人の様子をみて、中国と米国の通商問題についても、結果として同様の状態になるのではないかと危惧した。結論としてお互いの主張を曲げることはなく、安易な妥協は許さずとなれば、交渉が進展する可能性が本当にあるのであろうか。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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