10月の国内企業物価指数は前年比でマイナス1.9%に
日銀が発表した10月の国内企業物価指数は前年同月比マイナス0.4%となった。ただし、これは10月からの消費増税を反映したものであり、消費税を除く国内企業物価指数は前年同月比でマイナス1.9%と前年比でかなり大幅な下落となっていた。
国内企業物価指数は前年比で今年6月にマイナス0.2%となってマイナスに転じたあと、徐々にマイナス幅を拡大させている。
10月にマイナス幅を拡大させたのは米中貿易摩擦を背景に、原油価格が下落したことなどが影響していた。それとともに前年比であることで、昨年9月の国内企業物価指数をみるとプラス3.0%と大きなプラス幅になっていた。これも石油価格の上昇を反映したものとみられ、それと比較したことでの大きなマイナスとなったものとみられる。
企業物価指数は企業間で取引される商品の価格に焦点を当てた物価指数である。統計は「国内企業物価指数」「輸出物価指数」「輸入物価指数」から構成されているが、市場で注目されているのは「国内企業物価指数」で、前年同月比での伸び率が注目されている。
商品の需給動向を敏感に反映する取引価格の動向が調査されているため、物価の情勢判断に使われる。この企業物価指数と、日銀の物価目標でもある消費者物価指数の数値そのものは少し乖離しており、この数字だけをみて日本の物価動向を判断しづらい面もある。ただし、企業間物価指数を川上、消費者物価指数を川下と呼んで比較されるなど、当然ながら影響がないわけではない。今回のように原油価格の下落が影響したとなれば、これは消費者物価指数にも影響を与えよう。
9月の消費者物価指数(除く生鮮食料品)は前年同月比プラス0.3%となっていた。10月の数字は22日に公表されるが、消費増税の影響を除くとプラス幅をさらに縮小させてくる可能性がある。