日本の物価は原油で動く

総務省のデータなどを基に著者作成

 総務省が18日発表した9月の全国消費者物価指数は、総合で前年同月比プラス0.2%、日銀の物価目標となっている生鮮食品を除く総合は同プラス0.3%、生鮮食品及びエネルギーを除く総合は同プラス0.5%となった。

 生鮮食品を除く総合のプラスは33か月連続となったものの、上昇率は2017年4月のプラス0.3%以来、2年5か月ぶりの低水準となった。

 2017年4月以降の推移をみると、徐々に上昇幅を拡大させて2018年2月にはプラス1.0%となった。2018年8月と9月にもプラス1.0%となるが、ここが天井となり2019年4月以降は上昇幅を低下させている。

 日銀は2016年9月に長短金利操作付き量的・質的金融緩和を決定したが、一連の日銀の追加緩和策と日本の消費者物価指数には連動性はタイムラグを考慮してもみられない。

 2013年4月の量的・質的金融緩和策の導入時からの全国消費者物価指数の動きについて、日銀のマネタリーベースの推移と比較しても連動性はない。それに対してたとえばWTIという原油先物の価格の動きと照らし合わせると連動性があることがわかる。

 2014年4月に生鮮食品を除く総合のプラスは1.5%になった。量的・質的金融緩和策の導入時2013年4月はマイナス0.4%となっていたことで、一見、日銀の異次元緩和が効いたように見える。

 しかし、2014年4月のプラス1.5%がピークとなり、そこから前年比のプラス幅は縮小することになる。これについて2014年4月の消費増税による影響を指摘する向きがいるが、この落ち込みも原油価格の動きに連動していた。

 日本の消費増税によって国内の消費が落ち込み、原油需要も後退したことで原油価格も下落したのではとの指摘もありそうだが、WTIへの日本の需要後退による影響がそれほど大きなものとは考えづらい。当然ながら米国の原油需要などによる影響のほうが大きいはずである。

 今回の消費者物価指数の伸び率鈍化について、ガソリンや都市ガス代などエネルギー構成品目の下落幅が拡大したことが物価にマイナスに寄与したとされる。

 やや極論かもしれないが、物価は日銀の金融政策次第というよりも、原油価格の動向次第とみても良いのではなかろうか。

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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