8月末の中国の米国債保有の減少は気になるところ
米国の財務省が発表している米財務省が16日発表した8月の国際資本収支統計における米国債国別保有残高(MAJOR FOREIGN HOLDERS OF TREASURY SECURITIES)によると、引き続き日本が中国を逆転し首位となった。
日本の米国債保有額は1兆1747億ドルとなり、前月比で439億ドル増加した。これに対して中国は1兆1035億ドルとなり、前月比で68億ドルの減少となった。
国、米国債保有額、前月比(単位、10億ドル)
日本(Japan) 1174.7 +43.9
中国(China, Mainland) 1103.5 -6.8
英国(United Kingdom) 349.9 +15.2
ブラジル(Brazil) 311.5 +1.6
アイルランド(Ireland) 272.5 +14.3
ルクセンブルク(Luxembourg) 244.4 +14.8
ケイマン諸島(Cayman Islands) 236.3 +17.9
スイス(Switzerland) 233.2 +4.7
香港(Hong Kong) 224.6 +12.8
ベルギー(Belgium) 217.9 +11.8
トップ10では米国債の保有を減少させていたのは中国だけとなっていた。ちなみに中国人民銀行(中央銀行)が発表した8月末時点の外貨準備高は3兆1070億ドルとなり、7月からは増加していた。
8月の人民元下落率は1994年のデータ集計開始後で単月としては最大の下げとなっていたが、この人民元相場の急落は、中国による米関税措置への報復との見方もあった。
8月1日にトランプ大統領が3000億ドル分の中国製品に9月1日から10%の追加関税を課すとツイートしたことで対中貿易戦争の激化が懸念され、リスク回避の動きから米債は買い進まれた。7月末に2%台となっていた米10年債利回りは8月末には1.5%割れとなっていた。
中国以外の国はリスク回避の動きや米国債の相場上昇を見込んだ買いを入れていたと思われる。それに対して中国はむしろ米国債保有高を減少させていたのは、多少なり政治的な思惑が入っていた可能性も否定できない。