ここにきての市場の動きをみると、リスク回避の巻き戻しが起きているようにみえるが果たしてそうなのか。

 昨年10月はじめ、日経平均はバブル後の最高値を更新していた。そして、米国の10年債利回りは3.23%まで上昇し、2011年5月以来の水準に上昇した。そのあたりから、雲行きが怪しくなってきた。昨年10月あたりから世界の金融市場はリスク回避の動きを強めていたようにみえる。

 この際に米長期金利の上昇が嫌気されて米株が下落との見方もあったが、その後の米長期金利は低下の一途を辿る。またダウ平均なども一時調整局面入りしており、金利低下と株安、さらにはこのあたりから金の価格も上昇しはじめており、これはリスク回避の動きと解釈された。

 この時期、米国と中国との関係悪化による影響が表面化しつつあり、これが金融市場でのリスク回避の動きを促したようにみえる。または見方を変えると、リスク回避というシナリオを基に、株売り、債券買いなどを仕掛けていた向きもあったのかもしれない。

 そのトレンドは2019年に入っても継続し、金利は一方的に低下基調となり、金の価格は上昇していた。ただし、米国の株価はしっかりしており、東京株式市場も下落トレンドとはなっていなかった。また、リスク回避から条件反射的に円が買われることが多いが、一方的な円高ともなってはいない。

 金利と株と為替の動きが意外にちぐはぐとなっていたのである。金利については、FRBが正常化を停止し、その後予防的な利下げを行うなどしたことで、長期金利には低下圧力が掛かったとの解釈もできるが、それにしても欧州の国債利回りの低下が甚だしい。欧州の景気減速、物価の低迷が意識されたとしても、マイナス金利がさらに深掘りされるほどのファンダメンタルズの悪化となっていたわけではない。

 むしろ米国の経済が意外にしっかりしている面もあって、米国の株価が大きく下落していないともいえる。それが東京株式市場なども底堅くさせている。

 日本を含め、日米欧の長期金利の低下の背景にはいったい何かあるのか。金の価格上昇と比べれば、リスク回避といえるかもしれないが、株や為替の動きをみるとそう結論づけるわけにもいかなくなる。

 どちらの動きが正しいとか、そもそもそれぞれの要因で動いているので、無理矢理結びつけるなとの意見もあるかもしれない。しかし、ここまでのちぐはぐさは気になるところ。この背景のひとつにアルゴと呼ばれるシステムトレードが特に世界の長期金利の低下に働きかけていたとの見方もある。

 世界的な長期金利の動きからみれば、中央銀行はそれに追随するかのような緩和策を取ってもおかしくはないようにみえる。しかし、本当に追加緩和は必要なのか。政治的な圧力、もしくは雰囲気に飲まれての緩和準備をしてはいまいか。

 ECBについても、どうもドラギ総裁が前傾姿勢過ぎる面もありそうで、ここにきてECBの追加緩和に対しても過剰な予想は後退しつつある。FRBも含めて、もう少し市場の動向やファンダメンタルズの動向を再確認した上で、金融政策は判断すべきではなかろうか。これは日銀にも当然ながら言えることである。