タイムリーな日銀による長期ゾーン買入の減額
日銀は30日の国債買入において、残存期間5年超10年以下のオファーを前回23日の4500億円から今回は4000億円と500億円減額してきた。
残存期間1年超3年以下は4000億円、残存期間3年超5年以下は3600億円とこちらはそれぞれ23日のオファー額と変わらずとなった。
30日は当日夕方に「当面の長期国債等の買入れの運営について」を発表する。これは来月の日銀による国債買入のスケジュールとなるわけだが、このタイミングに合わせての減額ともいえる。
すでに日銀の金融政策の政策目標は量から金利に戻している。量の調整については需給バランスに加え、相場の動向などを睨んで、日銀の金融市場局の判断で行っている。
今回の減額については、国債発行を睨んでの調整ともみられ、需給面が配慮されたものと思われる。それに加え、米中の関税合戦や英国の合意なきEU離脱への懸念などから、リスク回避の動きが強まり、世界的な金利低下も意識されてのものとみられる。
29日に10年債利回りはマイナス0.290%まで低下し、マイナス0.3%に迫った。ここでいったんブレーキを掛けようとの意図もあったのではなかろうか。今回の減額が300億円ではなく500億円と比較的多かったことからもそれが窺える。
加えて、ここにきてのリスク回避の動きのなかで、それほど円高圧力が強まらなかったことも、今回の大幅な減額を可能にさせたともいえる。
日銀とすればできるうちに長期や超長期の国債買入額を調整したいところとみられ、誘導ではないものの、できれば10年債利回りのマイナス幅の深掘りは避けたいとみられる。その意味でも今回のそれなりの額の減額はタイムリーであったように思われる。
この日の夕方に発表された「当面の長期国債等の買入れの運営について」では、今回の減額が反映されて、残存期間5年超10年以下のオファーのレンジが8月の「3000~6500程度」から9月は「2500~5500程度」に減額された。回数は4回と変化なし。これをみても当面は一回あたり4000億円の買入となるものと予想される。