16日に日銀は長期ゾーンの国債買入を減額、市場は想定通り?

(写真:つのだよしお/アフロ)

 16日に日銀は午前10時10分の金融調節で国債買い入れをオファーした際に、残存5年超10年以下の買入予定額4500億円と、前回と比べて300億円減額した。一部減額予想があり、市場はこの減額幅がどうなるのかを意識していたようである。

 たしかに15日の10年債利回りはマイナス0.245%まで低下し、四捨五入するとマイナス0.300%ともなるマイナス0.250%に接近していた。しかし、マイナス0.250%を上回っても日銀は金利低下にむけては動いてこないのではとの観測もあった。このため、個人的には減額はなくてもおかしくはないとみていた。

 しかし、日銀はひとまずここでブレーキを掛けようとの姿勢を示した格好となった。ただし、市場は300億円程度の減額は本気で金利低下を止めようとしてはないとの捉え方をしたようで、これを確認して債券先物は売られたのではなく、155円台まで買い進まれた。10年債利回りもマイナス0.255%まで上昇した。

 以前はこういった日銀の国債買入減額に敏感であったはずの外為市場や株式市場もほとんど今回は減額を材料視していなかった。市場が材料視するものは移ろいやすいこともたしかである。

 今回の減額について、日銀は減額のタイミングを見計らっていたのではとの見方もできる。いずれ長期ゾーンの減額はしておきたいとの思惑も強かったのではなかろうか。日銀は国債はまだまだ買えるとの見方もできなくはないものの、現実には市場の流動性を維持させるためにも、極力量は減らしておきたいはずである。

 これは今後、追加緩和が必要になったときの糊代とかではない。ちなみにFRBが利上げをしたのも糊代作りのためではなく、平時に戻ったのだから金融政策も非常時の対応から通常の政策に戻しただけである。結果として利下げ余地が生まれたことは確かであるが。

 ということで日銀は長期金利の低下を本気で食い止めようとはしてこないことも確かなようである。とはいえ世界の金利は異常なほどの低下傾向となっている。この流れが継続するとなれば、日銀も緩和競争に巻き込まれる恐れもあり、日本の長期金利が弾みでマイナス0.3%とかに低下してくる可能性もないとはいえない。その際には、決定会合後などで日銀総裁が長期金利の許容レンジ拡大を容認したといったコメントを出して来る可能性はある。これは追加緩和とみてもらってもかまわないとの発言も加えられるかもしれない。

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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